「メディアが選挙期間中にもっと報道すれば、投票率も違う」放送時間は20年で半減…選挙報道とテレビの役割を検証【報道特集】
メディアコンサルタントの境治氏は、選挙報道の変化をこう指摘する。 メディアコンサルタント 境治氏 「小泉さんのときなんか盛り上がりすぎだったかもしれないけど、別に選挙を盛り上げるのは全然悪いことじゃない。2010年代に入ったら(テレビの選挙報道は)選挙公示日を迎えたらもう割とハッキリね。最初に党首が何を演説したかというのは伝えるけど、それぐらいですよね」 消えた年金問題に格差の拡大。次々に変わる総理。支持率は1割台にまで下落した。 民主党へ政権が変わった2009年の選挙での放送時間は、5時間36分12秒。 その後、自民党が政権を取り返した2012年の選挙では、4時間58分29秒だった。 そして今回は、4時間31分59秒。20年で半分にまで減少した。 ■自民党政権が求めた放送法の「政治的公平」テレビの選挙報道が減少してきた背景 テレビの選挙報道が減少してきた背景には、何があるのか。 立教大学の砂川教授は、“政権からの圧力”が報道の萎縮を招いたと指摘する。 立教大学メディア社会学科 砂川浩慶 教授 「今G7の中で、政府が放送免許を直接出しているのは日本だけなんですよ。1953年(民法の)テレビ局が日本テレビから始まって以来、ずっとそういう意味での権力からの介入はあるわけなんですけれども、非常に目につくようになったのは、第2次安倍政権からだと思います」 砂川教授が注目したのは、第2次安倍政権下にあった2014年の出来事だ。 この年の11月18日、TBSテレビ「NEWS23」に生出演した安倍総理。3日後に衆議院解散、約1か月後に総選挙を控えたタイミングだった。 番組では景気回復の実感を有権者に問う街頭インタビューを放送した。 映像で流れた6人のうち「アベノミクスの効果はあった」と答えたのは1人だった。 安倍晋三 総理(当時) 「これは街の声ですから、皆さん選んでおられると思いますよ。もしかしたらね。事実6割の企業が賃上げしているんですから。これ全然声反映されていませんが、これおかしいじゃないですか」