耐震強化で高速道路工事 阪神高速西船場JCTの現場公開
耐震強化で高速道路工事 阪神高速西船場JCTの現場公開 撮影:岡村雅之 THEPAGE大阪
阪神高速道路は29日、大規模改修工事に取り組む阪神高速西船場ジャンクションで現場見学会を開き、工事の進行状況を報道陣に公開した。制約条件の多い都心で営業路線を供用しながらの工事だけに、最新鋭の工法を導入して慎重に進められている。 年末年始や大型連休…高速道路の渋滞はなぜ起こる?
渡り線新設に伴い最新の鋼管集成橋脚を採用
西船場ジャンクションでは、ふたつの工事が並行して進む。大阪港線(東行)と環状線(北行)を直接接続する信濃橋渡り線(仮称)新設工事や、渡り線新設に伴う信濃橋付近の既存車線の拡幅工事と、古いコンクリート橋脚の劣化が懸念される箇所を取り替えて耐震性を強化する高速道路リニューアルプロジェクトだ。 信濃橋渡り線の新設工事で、新たに鋼管集成橋脚を採用。鋼管集成橋脚は4本の鋼管と複数段の横つなぎ材(せん断パネル)で構成。大規模地震発生時に、せん断パネルをあえて損傷させることで、地震エネルギーを吸収し、橋脚の揺れを制御できる。 同社が世界にさきがけて開発した技術で、実用化は海老江ジャンクションに続いて2例目。同渡り線が整備されれば、現在の約5・5キロの迂回が解消できる。
コンクリート橋脚の梁部を切断して取り替え
高速道路リニューアルプロジェクトの主な目的は、コンクリート橋脚が風雨にさらされるうちに化学反応によってひび割れなどの損傷が生じるASR対策。ASRが進行するとコンクリートの強度が低下し、一部ではコンクリート鉄筋の亀裂や破断が発生しかねない。 拡幅工事の対象となる17橋脚のうち、10橋脚でASRを確認。10橋脚の中で、ASRが顕著な4基は、梁の部分を撤去して再構築。柱の部分と基礎は再活用に問題がないため、引き続き使用することになった。ASR橋脚梁の撤去・再構築の工事期間中、隣接して仮受橋脚が2基ずつ設置され、高速道路を下支えしている。 現場説明会では撤去の対象となっている橋脚梁部の近くまで接近し、コンクリートに細かいひび割れが走っている様子を目視することができた。梁部は切断撤去後、改めて調査でASRの発生メカニズムを分析し、今後の保全対策に役立てられるという。
信濃橋渡り線の新設と信濃橋付近の既存車線の拡幅は、総延長約1・7キロ。総事業費約138億円で、2019年度事業完了予定。詳しくは阪神高速道路の公式サイトで。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)