「片付けられたゴミ屋敷」その1年後に現地を訪れて見た驚くべき実態
「こんな家じゃなかったのになって。喧嘩もするけど、楽しくみんなでお片付けしようみたいな家庭だったのに、知らない間にそうじゃなくなっていて、もうバラバラになりかけてた。私と母は連絡取り合うけど、弟にはめったに会わないし、連絡も取り合わないし、父もたまに私の家に来るぐらいで」(依頼者の女性) 弟と一緒に想いを伝えると、母の気持ちも変わった。イーブイのスタッフが見積もりのため家に上がると、弟は「他人が家の中に入ってくるのって違和感しかない」と話し、母は「娘や息子に何てことをしてきたんだろう」と涙を流したそうだ。
■大人になって「普通ではなかった」と気付く 依頼者の女性も弟も、子どもの頃は自分が置かれた状況がわからず、成長してから、「普通ではなかった」ことに気付いた。子どもの頃はよくても、「大人になってから困ることが多くあった」と女性は話す。その様子は、旧統一教会などに見られる宗教二世問題ともどこか重なる。 だが、イーブイの二見氏は、「ゴミ屋敷でも宗教二世でも、問題の本質は親と子のコミュニケーションなのでは」と話す。
「ゴミ屋敷とか宗教二世とか、インパクトが強いのでそっちに論点が行きがちですが、ゴミ屋敷でも宗教二世でも、すべての家庭の環境が悪いとは思わないんです。少なくともゴミ屋敷に関してはそうだと思っています」 過去にこの連載で配信した『「子2人とゴミ屋敷に住む」シングルマザーの孤独』で取り上げた家庭もそうだった。ゴミ屋敷というだけで、「育児放棄」という言葉を連想してしまいがちだが、実際は決してそうではなかった。
■片付けられたゴミ屋敷、その1年後は 見積もりを終え、女性の実家はイーブイによってゴミひとつないきれいな空間に生まれ変わった。「実家が心地良い」と感じたのは生まれて初めてのことだという。 しかし、ゴミ屋敷につきものなのが、「どうせまた元に戻る」という意見だ。イーブイが配信している動画にも、同じようなコメントが多く残っている。たしかに、「ただ片付けただけ」では、すぐにゴミ屋敷に戻ってしまうことが多い。だが、この家族のようにゴミ屋敷に向き合った経験があれば、そうとも限らない。