しゃぶしゃぶ食べ放題の“王者”しゃぶ葉が絶好調。猛追する“業界2位チェーン”の差別化戦略とは
忘年会シーズンに突入した外食業界。冬と言えば鍋というイメージがあるなか、約30年前から定番化した「しゃぶしゃぶ食べ放題」。焼肉・しゃぶしゃぶの両方を提供する焼肉店も多いが、焼肉と違い、脂を洗い落とすしゃぶしゃぶは肉の追加量が格段に多い。 だから、店側も原価の高い肉の追加量の抑制に工夫が必要だ。しかし、原価対策も過剰になると顧客満足度が低下するものだ。そういったトレードオフという両立できない関係がある以上、そのサジ加減が難しいのが食べ放題の特性だ。そんななかで人気を集める、すかいらーく傘下の「しゃぶ葉」について分析したい。 ⇒【写真】「しゃぶ葉」薬味やタレ関係もバリエーション豊か
顧客提供価値が高いしゃぶ葉
最近は輸入牛の価格高騰から、肉以外のメニュー(前菜・刺身・揚げ物・焼き物・煮物・サラダ・麺飯類など)も食べ放題にし、価格も高めにした店が主流だ。 商品戦略では、肉以外のメニューも食べ放題にして色々食べられるようにして原価率の高い肉の追加注文を抑え、原価を圧迫させずお腹を満たしてもらうところも多い。低原価商品に追加注文が分散すれば、お客さんの満腹感と満足感を充足し、店側も原価低減に繋がる。 そういった市場環境の中で、若者世代をターゲットに選定し、提供価値をシンプルにした分、来店しやすいように低価格にして人気を集めるのがしゃぶ葉である。 外食売上3位のすかいらーくグループは現在28ブランド3049店舗(2024年10月末日)を有し、ガスト、バーミヤン、しゃぶ葉、ジョナサン、夢庵の上位5ブランドで総店舗数の73%を占める。全店舗が直営のファミレスチェーンだ。
絶好調のしゃぶ葉!冬場に向けて注目か
しゃぶ葉の強みは何といっても価格の安さと、その割に内容が充実しているところである。物価高で節約志向が高まるなか、外食になかなか行けないのが実情だが、しゃぶ葉ではゆったりと落ち着いた空間で、コスパ最強のしゃぶしゃぶが堪能できる。 現に、しゃぶ葉は「低価格の割に中身が充実している」とヤングファミリーや若者を中心に人気を集めている。今年1月には279店舗だったのは、10月には16店舗も新規に出店して現在(2024年10月時点)は295店と、グループ内でも著しく店舗数を増やしている。 あれだけ安く肉も野菜も食べ放題にできるのは、やはりすかいらーく約3100店のスケールメリットとグローバルネットワークを活かした調達を実現できているからだ。グループ内の店舗数の増減を見ても、成長業態だけに経営資源の配分度合いも高い。 すかいらーくではグループ内のカニバリゼーションを解消し、衰退業態を成長業態に転換し、業態の再配置でグループ全体の最適化を目指している。もちろん、ブランドポートフォリオも成長性や収益性から適切に管理しているようだ。