秋野央樹、電撃移籍の真実。なぜ愛するV・ファーレン長崎を離れたのか。「まさか…」願望が現実に変わった瞬間【コラム】
2024シーズンのJ2を3位で終えたV・ファーレン長崎において、キャプテンとしてチームを支えていた秋野央樹。一度は戦力外通告を受けながらも再び長崎の地に戻ってきた左利きのボランチに、シーズンオフに「まさか」のオファーが届いた。「来季こそは長崎をJ1に」と決意をしていた秋野が移籍を決断した理由とは(取材・文:藤江直人) 【一覧】2025年 Jリーグ全60クラブ 最新移籍情報はこちら!
●失意のどん底にあった秋野央樹に訪れた「まさか」のサプライズ
脳裏に真っ先に浮かんだ言葉は「まさか」だった。それもポジティブな響きを伴って。ベテランの域に達した左利きのボランチ、30歳の秋野央樹にサプライズが訪れたのは昨年12月の中旬だった。 「新シーズンも長崎で、という思いをもってシーズンオフを過ごしていたんですが……」 J1の湘南ベルマーレから2019年夏に期限付き移籍で加入し、翌2020シーズンからは完全移籍へ移行したJ2のV・ファーレン長崎で、数えて7シーズン目の戦いへ臨むと心のなかで決めていた。 キャプテンを務めた昨シーズンは、J1へ自動昇格した2位の横浜FCに勝ち点でわずか1ポイント届かない3位でフィニッシュ。すべてを切り替えて臨んだJ1昇格プレーオフでは、12月1日の準決勝でベガルタ仙台に1-4と大敗を喫し、開場まもないPEACE STADIUM Connected by SoftBankで失意のどん底に突き落とされた。 予想よりも早く突入したオフで必死に気持ちを整理し、疲れ切った体を癒しながら、来たる2025シーズンこそは必ず長崎をJ1の舞台へ返り咲かせてみせる。決意を新たにした直後に状況が一変した。
●移籍を決断した理由「本当に悩み、本当にいろいろと考えました」
「12月の半ばに代理人を通じてアビスパ福岡さんから声をかけていただいてから本当に悩み、本当にいろいろと考えました。この状況で長崎を出るのは自分にとってすごく不本意な結果であり、J1へ昇格させて、という形が一番綺麗だとあらためて思った一方で、自分自身の今後のサッカーキャリアを考えたときに、残されている時間はそこまで長くない、というのもわかっていました。 そこでJ1クラブのアビスパ福岡からオファーをいただいたときに、ここは本当にチャレンジしたい、という気持ちが最終的には上回ったなかでこういう決断をくだしました。アビスパへの返答期限もあって時間は限られていましたけど、そのなかで本当に毎日、毎日考えていました」 もっとも長く所属したクラブとなった、長崎への愛着の深さは言葉ではなかなか表現できない。それでも湘南時代の2019年5月が現時点で最後のJ1でのプレーとなっているなかで、現役でいられる時間も刻一刻と減っていく。残留か、それとも移籍か。揺れ動いた胸中は、長崎の公式ホームページ上でも綴られた。 福岡への完全移籍が発表された12月23日。秋野はこんな思いを綴っている。