Googleの Gemini 、検索エンジンのゲームチェンジャーとなるか
検索エンジンは劇的に変わるのか?
Googleは、今回のアップデートに関する取材を拒否した。しかし、Google広告(Google Ads)のバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーであるシャシ・タクール氏はブログ記事で、「数カ月前から少数の広告主がこのジェネレーティブAIツールをテストしていた」と明かしている。 「検索のビジュアル化が進むにつれて、広告主からパフォーマンスにつながる説得力ある画像の作成が困難になっているとの声を聞くようになった」とタクール氏は述べている。「そのため我々は、ジェネレーティブAIとランディングページの画像を使って、広告主のキャンペーンに適した画像を提案する会話体験を開発した」。 フォレスター(Forrester)は最近のリポートで、ユーザーと広告主向けのジェネレーティブAIの成長は、検索エンジンを劇的に変化させるだろうと記している。マーケティングテクノロジーツールへの支出は毎年13.5%増加し、2027年までに2150億ドル(約31兆7170億円)を超えるとリポートは予測。フォレスターのシニアアナリストであるニキル・ライ氏によると、Geminiの拡大は、「広告主が透明性とコントロールを犠牲にして、ワークフローの効率化を選ぶことに賭けた」新たな事例だという。 「Geminiの拡大によって、SEM(検索エンジンマーケティング)とSEO(検索エンジン最適化)の相乗効果が求められる。広告の品質スコアに、広告の元となるオーガニックコンテンツの品質が直接反映されるようになるからだ」とライ氏は話し、「より良いパフォーマンスは、マーケターがインプットするコンテンツとデータの質によってもたらされるが、それにはオーディエンスの意図を深く理解する必要がある」と言い添える。
アップデートの影響は?
Googleのアップデートは、Googleや他のプラットフォームと提携するマーケティング関連のジェネレーティブAIスタートアップにも恩恵となる可能性がある。タイプフェイス(Typeface)の最高プロダクト責任者であるビシャル・スード氏は、「Googleが発表した内容と、自社がマーケターを支援(広告やその他のコンテンツ向けにAI生成コンテンツを作成)してきた開発の方向性には、大いに関連性がある」と話す。スード氏によると、今回のアップデートはタイプフェイスが目下、クライアントやGoogleその他大手の既存パートナー向けに注力していることの裏づけになるものだという。 しかしこれは、成長中のスタートアップが、GoogleやFacebookのような大手プラットフォームにとっての「フレネミー」と化す展開、すなわちそれらプラットフォームが、Web2の時代に広告主と直接コンテンツ制作に取り組むことで、エージェンシーやパートナーを切り捨てたときと同じ展開にはならないのだろうか。 こうした疑念はあるものの、スード氏はそうは考えていないという。「多くのブランドは、何かを制作し、それを複数のエンドポイントにプッシュできる場所を探している」と同氏は言い、こう続ける。「その点ですでに我々は顧客と共鳴している。そしてGoogleのすることは何であれ、我々にとっては有益だと言える。その道が正しいという認識を強めてくれるからだ。(中略)また、Googleのモデルを使用しているという点でも我々は恩恵を受けるが、最終的に顧客の観点から見れば、単一チャネルよりもオムニチャネルのキャンペーンを行うことで、我々は大きな価値を付加することができる」。 マーケターはオーガニックトラフィックの減少に直面しているが、ジェネレーティブAIによるコンテンツがこれを浮上させる可能性があると、ガートナーのアナリストであるニコール・グリーン氏は述べている。同氏によると、ガートナーの推定では、オーガニックなサイトトラフィックは2022年第4四半期から2023年第3四半期にかけて9%減少している。 「これに対処するためには、顧客のいる場所により焦点を当てる必要があり、それはジェネレーティブAI対応の検索プラットフォームとなりつつある」とグリーン氏は話す。「CMOはまた、広告の出来を測定する方法を見直す必要がある。単純なアプローチとしては、カスタマーインサイトやキーワードに沿ったコピーの作成に注意を向けることだ。これらの組み込まれた機能を使うことで、マーケターは検索エンジンの設計変更によって失われたトラフィックやブランド認知度を回復できる可能性がある」。 [原文:Google expands ‘conversational’ generative AI tools for advertisers powered by Gemini] Marty Swant(翻訳:高橋朋子/ガリレオ、編集:島田涼平)
編集部