Googleの Gemini 、検索エンジンのゲームチェンジャーとなるか
記事のポイント Googleは「Gemini」を強力な新しいAIモデルとして位置づけ、検索広告主向けに新しい「会話型」ジェネレーティブAIツールを米英で提供開始した。 ジェネレーティブAIには懸念があるなかで、その成長は検索エンジンの変化をもたらす可能性がある。今回の新機能は、広告主が透明性とコントロールを犠牲にして効率的なワークフローを選ぶ新しい事例とされている。 GoogleのアップデートはジェネレーティブAIスタートアップにも影響を与える可能性があり、マーケティング関連の新しい動きが期待されている。 Googleは、より多くの検索広告主がひとつのURLからキャンペーンを作成できるよう、自社の強力な新しいAIモデル「Gemini」の用途を拡大している。 同社は米国時間1月23日、「会話型」ジェネレーティブAIツールへのベータアクセスを、米国および英国の広告主向けに提供開始した。今後数週間のうちに、英語圏の広告主を対象としたグローバルアクセスも開始するという。 2023年に発表されていたこの新ツールでは、広告主がGoogleにWebサイトのランディングページのURLを提供し、このURLを用いて、AIが検索キャンペーン向けに、コピーや画像、キーワードといった関連性のある広告コンテンツを生成する。そしてGoogleのチャットボットが広告主と会話し、キャンペーンの目標、ターゲット層、追加の広告コンテンツのアイデアについてやり取りといった仕組みだ。このようにしてAIが生成した広告は、広告主側で人間による最終的な承認を経たうえで、キャンペーンが開始される。
ジェネレーティブAIへの懸念は絶えない
一方で、ジェネレーティブAIをめぐっては、依然として大きな懸念が残る。とりわけ今年は米大統領選を控え、ジェネレーティブAIツールの悪用が増えている状況だ。ガートナー(Gartner)によると、ジェネレーティブAIを利用した検索結果を「少なくともある程度信頼している」との回答が消費者の70%を占める一方で、「完全にまたは大いに信頼している」との回答はわずか20%だった。それでも、調査に応じた消費者の79%は、今後1年以内にジェネレーティブAIベースの検索を「少なくとも少しは」利用すると答えている。 Googleによると、ジェネレーティブAIを使った広告には、AI生成コンテンツであることが識別できるように、Googleの「シンスID(SynthID)」による肉眼ではわからない透かしが入れられるという。しかし、一部のAI専門家はすでに、透かしは必ずしもAI生成による誤情報を抑止するものではないと指摘している。最近の報道でも、誤情報を含むAI生成Webサイトが、「Googleニュース(Google News)」の検索結果に表示される例がすでに見つかっている。 2023年12月に発表されたGeminiが、Googleの広告ツールと統合されたのは今回が初めてだが、Googleはすでにここ数カ月で、他にもジェネレーティブAIを用いた広告ツールをリリースしている。またジェネレーティブAIを広告に使用する以外にも、Googleは米国時間1月23日にChrome向けの新機能をリリースし、その前週には、Androidユーザー向けに新機能「かこって検索(Circle To Search)」を発表した。