2017年予想、日経平均1万9000円 企業収益改善、日銀ETF買いなどが貢献
上記の楽観・悲観シナリオはそれぞれ実現する可能性が高いですが、最重要ポイントは米国経済およびFEDの動向です。弊社米国担当は米経済の実質GDP成長率を2017年+2.5%、2018年+2.4%と潜在成長率(労働力や設備などをフル活用した時に実現される成長率)を上回る伸びを予想。 完全雇用に近い状態で更なる景気刺激策が発動されれば、潜在成長率の達成は容易とみられます。新政権の舵取りは不透明感が強いものの、FEDが過度な引き締めを断行するようなことがなければ、米経済は成長加速が見込まれ世界経済を牽引するでしょう。こうした楽観的な展開となった場合、日経平均は昨年来高値を上抜けて2万1000円を付ける場面がありそうです。
新興国不安は懸念材料 ドル高、米金利上昇が顕著になったときは要警戒
一方、新興国不安(含む人民元安)、USD高による米国経済への打撃が表面化することが十分に想定され、そうした局面ではUSD/JPY下落を伴った株価急落が想定されます。FEDが景気に楽観的な見通しを示し、USD高・米金利上昇が顕著になったときは警戒モードを強めるべきでしょう。 新興国経済やコモディティ価格への打撃を通じ、2016年1-2月と同様の惨事を招く可能性が高まります。
また、米金利上昇が世界的な“Search for Yields”の流れを逆回転させ、高配当・ディフェンシブ株の下落を誘発するほか、ハイ・イールド債、高金利通貨からの資金流出を招く展開にも注意が必要と考えます。そうした下では、経常黒字・マイナス金利という逃避通貨の条件を満たすJPYが買われやすいという傾向があります。
TOPIXの予想EPSに目を向けると、10月頃から上方修正サイクルに入り機首をもたげつつありますが、為替の変動次第で再度下方修正サイクルに突入する可能性も十分想定されます。高値から20%程度の下落に見舞われることを予め想定しておきたいところです。2016年と同様、値幅はかなり大きくなりそうです。