2017年予想、日経平均1万9000円 企業収益改善、日銀ETF買いなどが貢献
そこで注目すべきは人口減少下で物価上昇を伴い、名目GDPが力強く伸びていることです。名目GDPが営業余剰(≒営業利益)と雇用者報酬(≒人件費)の和であることからすれば、名目GDPの増加は企業支出の源泉となる「企業利益」と個人消費の源泉となる「賃金」が増加することを意味しており、これは真の意味での「稼ぎ」が増加していることにほかなりません。
人口減少と名目GDP増加。株価にとって重要なのは後者です。日本株は名目GDPが縮小を始めた1990年代後半からレンジ相場に移行しましたが、名目GDPが複数年にわたって拡大するなか、2015年に上値抵抗線を突破しました。
先行きも名目GDP拡大がより持続的なものとなれば、上値は一段と伸びることが期待されます。日本株は人口減少による内需縮小が一つのテーマとなり敬遠されてきた節があるものの、そうしたイメージは名目GDPが拡大を続けるなかで徐々に払拭されるでしょう。そうした中、10年金利は日銀のイールドカーブコントロール下で0%に固定されており、極めて緩和的な金融環境にあります。「名目GDP>10年金利」の状態ではリスク性資産が上昇しやすいという関係もあります。こうした構図が続く限り、日本株の強気姿勢を固持したいと思います。
(第一生命経済研究所・主任エコノミスト 藤代宏一) ※本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。