息子の志望中学が「発達障害に手厚い私立中」から麻布中に変わったワケ 小6の12月から想定外の受験突入
小6の12月「麻布に行けるなら、行ってみたいな」
そして12月、中学受験の願書提出のとき。私は予定通り私立A~Cの願書を作成しました。いつも私はすべてのことを息子に話しながら物事を進めるので、願書の内容も見せながら「これであとは、試験を受けるだけだね」と話しました。その時私は、何の気なく「麻布はどうする? 受けてみる? もし受かったらどうする?」と聞きました。本当に何の意図もありませんでした。その回答が「麻布に行けるなら、行ってみたいな」でした。 息子とずっと一緒にいる私は、息子の「麻布宣言」にかつてない、ほのかな熱を感じました。本能的に息子の「言葉の尻尾」を離さない方が良い気がしたので、私は追いかけました。 「本当に? 麻布に行ったらサポートの先生はいないよ? 自分のことは全部自分でやらなきゃならない。勉強も大変だし、発達障害の支援はないかもしれないよ? いいの?」と確認すると、息子は「行けるなら、だよ」と、スルリとごまかすように逃げようとします。
「本気でやる?」「やってみる」
私は正面から受け止めようと、自分自身が大切にしている生き方や考えを、大人に話すように伝えました。 「お父さんは、記念受験とか、ダメ元とか、そういう考えは嫌いなんだ。だからいつも全力で本気でやるようにしてる。もし君が本気で麻布を受けてみたいなら、今から受かるための戦略を考える。受けるなら絶対に受かるために限界突破させる。どうする? それでも受けてみる?」 息子は、即答でした。「やってみる」 12月のその日、すぐにネットで情報を集め、麻布の試験日が2月1日とすでに2か月もない状況と知りました。覚悟を決めた私は、翌日、息子に最初の戦略を伝えました。 「お父さんと、ギャンブルしない?」 発達障害の息子と私にとって、想定外の受験が幕を開けました。
赤平 大(あかひら・まさる)
元テレビ東京アナウンサー。現在はフリーアナとしてWOWOW「エキサイトマッチ」「ラグビーシックスネーションズ」、ジェイ・スポーツ「フィギュアスケート」など実況、ナレーターとしてNHK BS「ザ少年倶楽部プレミアム」など担当。 2015年から千代田区立麹町中学校でアドバイザーとして学校改革をサポート。2022年から横浜創英中学・高等学校でサイエンスコース講師を担当。発達障害学習支援シニアサポーター、発達障害コミュニケーション指導者などの資格を持つ。早稲田大学ビジネススクール(MBA)2017年卒優秀修了生。 発達障害と高IQの息子の子育てをきっかけに発達障害動画メディア「インクルボックス」運営。