息子の志望中学が「発達障害に手厚い私立中」から麻布中に変わったワケ 小6の12月から想定外の受験突入
筆記試験対策で「先取り学習」
息子と私は「せめて筆記試験で高得点を取って、印象を良くしよう」という作戦を立てました。息子は小学1年からの「先取り学習」で小学3年のときに数学検定3級(中学3年水準)に合格したのですが、発達障害の影響から高校数学の学習が難しく、数学の先取り学習が滞っていました。そこで目的を「私立中Aの筆記対策」にシフトし、コツコツと全科目で「先取り学習」を続けました。 同時にプログラミングなど多種の習い事をやることで、面接でアピールにつながればと思っていました。この辺りは、「知の巨人」のひとり、早稲田大学ビジネススクールの入山章栄教授から教わった「両利きの経営」(https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20240122-OYTET50030/)を発展解釈した 「両利きの学習」のコラム でお話しした通りです。
私立中A近くへの引っ越しも想定
本命校だった「横浜にある発達障害に手厚い私立中A」へは、徒歩で通わせたいと考えていました。発達障害の影響で電車通学では危険が多いためです。そこで小学6年の11月に息子と学校周辺を散策し、「このマンションに住めれば歩けるね」「このスーパーで買い物できるね」など、息子に都内からの引っ越しを想定した、私立中Aでのリアルな中学生活をイメージさせていました。 私立中Aが不合格だったときのために「都内の少人数の私立中B」「横浜にある多様性に理解のある私立中C」、さらに以前のコラム(https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20231221-OYTET50001/)に書いた「某区公立の自閉症・情緒障害特別支援学級D」と、それぞれの体験授業と説明会も参加し、発達障害の進学準備でできることはやり尽くしたと思っていました。
「息子さん、麻布中学が合うと思いますよ」
息子が「麻布中学に行けるなら、行ってみたいな」とつぶやいたのは、そんな受験直前の2023年、小学6年の12月でした。 なぜ息子が「麻布中学」を意識したのか。これは2019年、息子が小学3年のときまで遡ります。 当時私は、千代田区立麹町中学校の学校改革のお手伝いをしていました。その指揮をとっていたのが、近年、日本の教育者のフロントランナーとして活躍されている工藤勇一校長(当時)です。 2015年に工藤校長からの依頼を受けてから、ずっとご一緒していたのですが、私の息子が発達障害であることは公私混同になるため、一切お伝えしていませんでした。しかし、息子のいじめ被害や転校先がないこと、進学先がないことで私はあらゆるアクションをとったのですが、良案がなく、恥を忍んで工藤校長にご相談したのが2019年。 工藤校長からのファーストリアクションは「なんでもっと早く言ってくれなかったんですか!」でした。そこからの工藤校長は疾風のように、有識者の方と息子をつないでくださったり、イベントにお誘いいただいたりと、本当に親身になってくださいました。いつも工藤校長は、息子に何度も話しかけてくださり、息子の様子をしっかりとみてくださいました。 そんなある日、工藤校長から「赤平さんの息子さん、麻布中学が合うと思いますよ」と言われました。岩手県出身で中学受験を知らない当時の私には麻布中の知識がなく、工藤校長から理由の説明を聞いても「麻布は自由なんだぁ」程度の浅い理解でした。これが、私と息子にとっての麻布中とのファーストコンタクトです。