<競馬>「かっこ悪い」乗り方 その背景にある心の叫び
馬主あっての厩舎運営。こうなると、調教師は馬主の意見に従わざるを得ない。最近は調教師の意思を飛び越えて、馬主が騎手を指名するケースも多い。今の調教師が新人騎手を取りたがらないのもこれが原因。自分の厩舎の馬ですら思い通りの騎手を乗せられないのだから、弟子を育てることなどできるはずがないからだ。 世界最高峰の舞台・仏国の凱旋門賞でオルフェーヴルが2年連続2着。生産、育成技術が飛躍的に進歩し、日本の競走馬は世界の頂点を狙えるところまで来た。にもかかわらず、今の日本の競馬界は本気で騎手を育てる風潮がない。このままでは、日本人横綱がいなくなり、人気が下降した相撲界の二の舞になりかねない。今のうちに何か手を打たなければ、取り返しのつかないことになるだろう。 JRAの騎手が置かれている状況は、日々厳しさを増している。だが与えられた環境の中で、彼らはひたむきに努力し続けている。久しぶりに競馬を見た知人が感じた変化は「自分を見てくれ!」と必死に叫ぶジョッキーの姿。勝った負けた、当たった外れたと表面だけを見るのではなく、内面からあふれ出る彼らの心の叫びにもっと耳を傾けて欲しい。