ナゼ『消火栓のパイプ』が?横行する「金属窃盗」事件 背景に「売買規制」の都道府県による異なる現状
■全国に広がる被害 1億円相当も
被害は滋賀県だけでなく全国で。 2024年5月には、東京都内の太陽光発電所で840メートルもの銅線ケーブルが盗まれる被害がありタイ人の男4人が逮捕されました。 余罪を含めるとこのグループの犯行による被害総額は、1億円にのぼるとみられます。 全国での金属窃盗の被害は2020年にはおよそ5500件でしたが、去年には1万6000件以上と、3年で3倍となっています。 その背景には、銅などの金属の価格高騰があるとみられますが、違法に盗んだものをなぜ売ることができるのでしょうか。
■金属買い取り業者の対応は
滋賀県内の金属買い取り業者を取材しました。 24日、やってきたのは3袋分の空き缶を集めた人です。 Q:あの空き缶は何で集まった? 【空き缶を売りに来た人】「地域の人が置いておいてくれたり」 地域の空き缶を集めてここでお金に換え、その資金で街の花壇に花を植えているといいます。 【金属買取業者「がんさん」 岩本重治代表取締役】「ありがとうございました。こちら現金と証明書が入っておりますのでまたお願いします」
■「初めての客」は個人情報を確認 滋賀県の条例で確認しないと罰則が
今回のお客さんは、よく知った常連さんのため買取作業はすぐに終了しましたが、この会社では初めて訪れた人には個人情報を提示してもらい持ち込まれた金属が大量でその理由が判明しないときは買取を拒否するといいます。 【金属買取業者「がんさん」 岩本重治代表取締役】「お名刺交換とか免許証、交渉で探りながら。どのようなところから(金属が)排出されたかというのをやっぱり聞きますので、中にはやっぱり濁される方というのはなるべくお取引はしないように。 見たところやっぱりこれはたぶん盗って来はったんだろうなというような方もやっぱりいます」 こうした個人情報の確認を義務づける法律はなく、滋賀県では売買する相手の名前や住所などを確認しなかった場合、罰則が課される条例が制定されています。
■「犯罪者側は条例で規制がない府県がやりやすい」と警鐘
しかし、同様の条例が制定されているのは、全国17の道府県にとどまっていて、警察によると、盗んだ金属を条例のない地域まで運び売買が行われている疑いもあるということです。 【滋賀県警生活安全企画課許可事務担当室 林恭輔室長】(Q.滋賀で名前など個人情報を控えられるなら控えられない京都府に行こうってなるのでは?) 「その可能性は当然あると思います。犯罪者側にしたら条例で規制がない府県のほうがやりやすいのはやりやすい」 また、条例があっても盗品をきっぱり断るかどうかは買取業者のモラルにかかっている部分もあるといいます。 【金属買い取り業者「がんさん」 岩本重治代表取締役】「確認する手間が正直ありますし物不足で是が非でもほしい、盗品でもほしいというのは正直あると思います。法(条例)に触れるのであかんもんはあかんとお断りしています」