幻の“中日・井端監督”報道に渦巻く思惑とは? 立浪監督は「やらせたくない」…でも3年後は既定路線
本当に立浪監督の要請を待っていたのか?
さるチーム関係者はこう指摘した上で、21年オフ、立浪新監督が着手していた組閣の話を持ち出した。 当時、立浪監督は井端氏にヘッドコーチ職を要請しようとしいていた。井端氏も待っていたという。しかし、先に「関東での仕事」が決まったという理由で、数日遅かったため立浪監督の要請に応えらなかったというのが井端氏の言い分だった。年が明け、井端氏は21年東京五輪で金メダルに輝いた日本代表コーチを務めた実績を買われるなどし、U-12日本代表監督に就任することになった。 WBCで優勝を経験した元コーチが語る。 「本当に待っていたのなら、先に決まった仕事を断ることもできたはず。体のいいエクスキューズに聞こえました。私が代表でコーチをした際はNPB球団から指導者の依頼が来れば、代表を離脱できる約束を交わしていました。(井端氏が)そこまでしなかったということは立浪監督をサポートすることの優先順位がさほど高くなかったのかもしれません。中日は勝てる見込みがあるとは言い難いチーム状況だったので、立浪監督とともに泥をかぶることは避けようと思ったとしても、責められないとは思いますが……」
日本代表の仕事を盾に
一方の立浪監督は井端氏にいなされたことを察知し、ご立腹だったようだ。周囲の関係者には「(自分の)次の監督は井端にはやらせたくない」と漏らすほどだったという。奇しくも9月19日、井端監督に代表監督の続投を打診するNPBの方針が報じられた直後、立浪監督は今季限りでの辞任を表明した。 「日本代表の仕事を優先したことが、中日に戻らない理由であることが明らかになったのは3年前と同じです。前回は井端監督自身がメディアやSNSで明かしていましたが、今回は新聞報道が代弁するような形になりました。今回も中日復帰のタイミングではないと判断したのでしょう。今の中日の再建が容易でないことは誰の目にも明らかです。監督一人の力では何ともならない。補強などで球団のバックアップや、自身の気心が知れたコーチによる組閣などが確約されない状況で引き受けるのはリスクがあります。といっても将来的には監督になりたい意思があるため、(新聞報道で)中日再建より代表監督を選んだことによるファンの失望やイメージ低下を招かないようにしたのかもしれません」(前出のチーム関係者)