誕生30周年!"エメマン"でおなじみ「ジョージア エメラルドマウンテン ブレンド」が売上No.1の缶コーヒーとなったワケとは?
日本中の飲料会社から発売されている缶コーヒー。主に40代以上の年齢層がメインターゲットとなっているものが多いが、そのなかでも珍しく、多くの若年層に受け入れられているのが日本コカ・コーラ株式会社(以下、日本コカ・コーラ)が発売している「ジョージア エメラルドマウンテン ブレンド」(以下、エメラルドマウンテンブレンド)だ。 【写真】1994年当時の「ジョージア エメラルドマウンテン ブレンド」 「ジョージア エメラルドマウンテン ブレンド」は、厳選された高級豆「エメラルドマウンテン豆」と国産牛乳の王道バランスを味わうことができる、「ジョージア」ブランドを代表する缶コーヒー。1994年に誕生したこのコーヒーは2024年に30周年を迎えるロングセラーだ。 缶コーヒーブランドとして多くのファンの心をつかみ、売上No.1缶コーヒー(※インテージSRI+調べ 缶コーヒードリンク市場 2022年12月-2023年11月累計販売金額)として君臨している。今回はこのコーヒーの誕生秘話や、売り上げを伸ばしている背景などについて、日本コカ・コーラ マーケティング本部の加藤紗奈恵さんに話を聞いた。 ■大ヒットの缶コーヒー「エメマン」誕生秘話と売れているワケ 「ジョージア エメラルドマウンテン ブレンド」は、雄大な自然に育まれ、人の手で丁寧に摘み取られたコロンビア産コーヒー豆のうち、上位1%未満だけが認定される(※コロンビアコーヒー生産者連合会認定)高級豆「エメラルドマウンテン豆」を使用した缶コーヒーだ。この製品が生まれたのは、バブル崩壊直後からしばらく経った1994年だった。 「経済的にも社会的にも疲れたような雰囲気が漂っていたこのころに、缶コーヒーがよく飲まれるようになって市場が伸長していきました。弊社は、他社製品と差別化した製品を企画していくなかで『高級豆を使った製品を出してはどうか』という方針になりました。さまざまな豆を検討した結果、最終的にエメラルドマウンテン豆を採用することになりました」 エメラルドマウンテンは、香りが華やかで飲みやすい味が特徴的なコーヒー豆。缶コーヒーユーザーは濃い味を好むことが多いため、彼らの支持を得られるように深みの出るような豆とブレンドをしていることが特徴だ。そのため、「エメラルドマウンテン ブレンド」という名前になっている。 発売当初からパッケージデザインの「青色」と背景にそびえたつ「山」のモチーフを用い、消費者に強いブランドイメージを与えていることも大きな特徴だ。また、過去には何度もパッケージを刷新しているのも大きなポイント。消費者の持つ印象は変えずに、変わりゆく時代のニーズやブランドの世界観の変化に対応し、象徴的な山のイラストやカラーバランスなどを刷新し続けている。 発売より多くのファンを魅了してきた「ジョージア エメラルドマウンテン ブレンド」。誕生以来、多くの人に愛され、売上No.1に輝いている理由について、加藤さんは以下のように話す。 「印象的な青いパッケージのデザインから『ほかの製品とは違うな』とパッとわかることが強みであり、他社商品と差別化できている点だと思います。そして、豊かな香りと深いコクがあり、適度な甘さで飲みやすい味わいであることも、世代問わず飲み続けられている理由ではないでしょうか」 ■ユーザーの31%が30代以下。若者に人気の理由とは? 2024年現在、缶コーヒー市場のトップに立っている「ジョージア エメラルドマウンテン ブレンド」の好調の理由は、愛飲者の31%が30代以下と、40代以上がメイン層となっている缶コーヒー市場全体と比べて、若年層の割合が高い傾向にあるためだという。では、なぜ若い世代に人気があるのだろうか。 「30周年を迎えたこともあり、あらためて消費者のみなさまに飲み始めたきっかけをインタビューしました。すると、小さいころにお父さんやお母さんが飲んでいたエメマンを一口もらっておいしさに目覚め、その後、中高生になって受験勉強のころにしっかり飲み始めたという人が多いのが特徴でした」 小さいころに味を知り、大人になっても飲み続けているという20~30代が多いのだとか。また、コーヒーを飲むシーンについては、仕事や勉強のブレイクタイムだけでなく、リラックスしたいときや趣味の最中など、幅広いシーンで飲用されているという。 「この商品はコーヒーと牛乳のバランスがよく飲みやすい味わいです。そのため、このような飲用傾向がある若年層の方にとっては、親しみやすい味わいに感じられるのではないでしょうか。その結果として、若い世代の愛飲者の取り込みにつながっているのではないか、と私たちは考えています」 また、近年では各社ともにペットボトルのコーヒーが主力となっているが、ここ最近のコロナ禍の落ち着きやおでかけ需要の増加などに伴い、缶コーヒー市場全体が上昇傾向に。特に、この商品は日本中の自動販売機で購入できるので、どんな人でも手に取りやすかったのも若年層がエントリーしやすかった理由のひとつだった。 ■キャンペーンも大人気!エメマンの今後の展望は? そして、「ジョージア エメラルドマウンテン ブレンド」の人気を支えてきたのが、定期的に開催されるキャンペーンだ。そのなかでも1995年に日本コカ・コーラが実施した「ジョージア エメラルドマウンテン ブレンド "やすらぎパーカー"プレゼント」の影響は非常に大きかったという。ジョージア製品についているシールを5ポイント集めて応募するというもので、当時はおよそ3435万通もの応募があったそうだ。 「このキャンペーンでは、ジョージアのコンセプトである“やすらぎ”をイメージし制作したオリジナルパーカーを抽選で2万人にプレゼントしました。このキャンペーンには飯島直子さんを起用したのですが、飯島さんの『お疲れさま』というねぎらいの言葉が、当時の働く男性たちの心に刺さったようでした。インサイトにしっかりと届き、次第に製品の知名度も上がっていきました」 そして、2024年1月には「青い気持ちを大切にしたい。青いから、挑戦できるし、失敗もできる。」をメッセージに据え、「これからも青くいこう」をテーマとした、若年層に向けた記念キャンペーンを開催。同じく30周年を迎える『名探偵コナン』とのコラボや、「Coke ON」アプリからの購入で、抽選でドリンクチケットなどが当たるキャンペーンなどを行った(※24年5月現在、キャンペーンは終了)。 最後に、加藤さんに今後の「ジョージア エメラルドマウンテン ブレンド」の展望を聞いた。 「私の子どもの世代にも受け継がれていくようなロングセラーのブランドであってほしいなと思っています。やっぱり『親が飲んでいる姿を見て、私も飲むようになりました』というエピソードがあるのは本当にすごいことだと思います。これからも缶コーヒーの“顔”として選ばれ続けられるような製品でありたいと思っていますので、応援よろしくお願いします!」 1994年に生まれ、現在も多くの人の心を癒やしている「ジョージア エメラルドマウンテン ブレンド」。今後も変わりゆく時代の流れを反映しながらパッケージを刷新し、変わらず人々に安らぎを与えていくだろう。「青い気持ち」を大事にし、若年層をはじめすべての日本人にアプローチを行うこのブランドの、これからの進化に期待したい。 この記事のひときわ#やくにたつ ・ブランドイメージをつけることがロングセラーを生み出す ・年齢層の差別化はシェア獲得の近道 ・心をつかむキャンペーンは製品の知名度向上に役立つ 取材・文=越前与