ドナータ・ヴェンダースがレッドカーペットで見せたVHSのアップサイクルドレスとクラフツマンシップ
ミラ:ドナータがドレスを着用した姿を現地からビデオメッセージで送ってくれました。その時に、VHSテープを再生した時に生じるノイズ音を真似しながら「聞こえますか?今、アカデミー賞に向かっています」と言ったんです。それを聞いてとても感動し、現実に起こっていることだと信じることができませんでした。ドレスを着てレッドカーペットを歩くドナータの姿はとても優雅で、完璧に着こなしていて感激しました。ヴィムもその美しい姿に完全に魅了されていることがわかりました。
WWD:メディアからはどのような反響がありましたか?
ミラ:圧倒するほどの反響があり、自分でも驚いています。ドイツだけでなく、他のヨーロッパの国やアメリカ、日本のメディアが次々と取り上げてくれて、ベストドレッサーのリストにも掲載されました。ヴィムも「自分の映画のVHSテープを着るというアイデアに興奮している」とコメントしてくれました。アカデミー賞授賞式が終わった後にドレスをミュージアムで展示したいとオファーも受けましたので、日本やアメリカ、ベルリンでも発表したいと思っています。
WWD:サステナビリティについて思うことは?
ミラ:世界的なサステナビリティのムーブメントの中で、ファッション業界は真の目的を達成するにはまだ程遠い現状です。例えば、レッドカーペットは、著名人やセレブリティと契約している企業が権力を持っているため、革新的なアイデアを持つインディペンデントなブランドやサステナビリティを意識したブランドの作品が披露されることはめったにありません。私たちのようなブランドがセレブリティにドレスを提供する機会は極めて限られているんです。そういった現実でドナータはクラフツマンシップの重要性を信じ「クルーバ」のようなブランドを支援してくれています。今回は、アカデミー賞授賞式のレッドカーペットという貴重な場面を通してスローファッションを多くの人に知ってもらえたと思います。