ジャフコ社長、最新ファンドのROI目標は3倍-次買われるのは成長株
(ブルームバーグ): 独立系ベンチャーキャピタル(VC)として国内最大手のジャフコグループは、978億円を調達した最新ファンドのグロスの投資利益率(ROI)について、満期時点で3倍を目指す。同社の三好啓介社長が明かした。
三好社長はブルームバーグのインタビューに、基幹ファンドSV7シリーズについて「3倍をターゲットとしたい」と話した。管理報酬と成功報酬を差し引いたネットベースでは2.5倍程度となる。目標が達成できた場合、2021年末に満期を迎えたSV3以来の水準になる。日経平均株価が過去最高値を更新するなど、大企業を中心に日本株に資金が集まる中、三好氏は次に買われるのは小型株やグロース株だとみる。
自信の背景には、スタートアップの資金調達環境の改善がある。クロスボーダーの投資家が増えたほか未上場企業への投資に対する関心が高まり、結果としてグローバルオファリングができる規模まで成長してから上場しようという大型の「予備軍」が増えたという。三好氏は「ようやくいろいろな歯車が嚙み合い始めている」と話す。
22年4月に東京証券取引所の市場再編で生まれた東証グロース市場は、依然として小粒上場が多い状況が続いている。KPMGのリポートによると、23年にグロース市場に上場した企業の公募での資金調達額の中央値は約6億円にとどまった。三好氏の見立て通り、有望なスタートアップの上場が今後続けば、投資家のグロース市場への見る目も変わりそうだ。
国内VCのパフォーマンスを調査する日本ベンチャーキャピタル協会の白木信一郎理事は、ジャフコGのネットROI2.5倍という目標は、調査を始めた10年からのデータに照らし合わせると「トップパフォーマーの域に入る」とした。また、近年は資金の集まりやすさの観点でエグジット環境が悪く、大型IPOは控える傾向があったという。
ジャフコGは創業初期の企業を中心に投資し、ファンドの運用総額は24年3月末時点で4600億円を超える。現在のニデックやソフトバンクグループなど累計で1000社超の投資先企業が上場した。ジャフコGは10年前から投資方針を数を少なく、一社当たりの投資額を大きくする戦略に切り替えた。