こんなはずでは…。欧州、新天地で苦戦している大物選手10人。本領を発揮できていないスターたち
FW:キリアン・エンバペ(レアル・マドリード)
生年月日:1998年12月20日 移籍金:フリー 24/25リーグ戦成績:10試合6得点1アシスト 今夏の移籍市場で最も注目を集めたのがキリアン・エンバペのレアル・マドリードへの加入だ。 11月6日時点ではラ・リーガ10試合で6得点1アシスト、公式戦15試合で8得点2アシストとまずまずの結果を残しているようにも見える。しかし直近数試合の内容には厳しいものがある。 昨季ラ・リーガとUEFAチャンピオンズリーグ(CL)の二冠を達成していたレアル・マドリードがエンバペを獲得した理由は、カリム・ベンゼマ退団後にエース級のストライカーがいなかったことが関係している。6季連続でリーグ・アン得点王に輝いた世界的スターには、拮抗した試合で勝負を決める得点が求められていた。 しかし、本稿執筆時点では期待される役割を果たすことができていない。シーズン開幕当初は、左サイドに流れる傾向が強いことからピッチ上でのポジションバランスに課題が生まれ、2トップへとシステムを変更した9月末からは得点にもあまり絡むことができなくなってしまった。 特に批判を浴びたのが10月26日。バルセロナとのクラシコでのパフォーマンスだ。この試合でエンバペは再三のビッグチャンスを決めきることができず、試合を通して8度のオフサイドを記録。バルセロナのハイライン戦術に苦しめられ、2度ネットを揺らしたシーンではいずれも得点を認められなかった。 エンバペにはバルセロナ戦のようなビッグマッチで輝くことが期待されているが、現時点ではその役割を果たすことができていない。カルロ・アンチェロッティ監督も彼が活躍するためのシステムを模索中であり、チームとエンバペ個人の成績が安定するのはもう少し先になるかもしれない。
MF:ドウグラス・ルイス(ユベントス)
生年月日:1998年5月9日 移籍金:5150万ユーロ(約82.4億円) 24/25リーグ戦成績:7試合0得点0アシスト 今夏にチアゴ・モッタが新監督に就任したユベントスは、セリエA第11節終了時点では無敗とまずまずのスタートを切っている。しかし、全ての物事が上手く進んでいるわけではなく、その中には負傷者を含むいくつかの誤算がある。 最も想定外だったのが、今夏にアストン・ヴィラからサミュエル・イリング=ジュニオールとエンソ・バレネチェア+金銭という取引で獲得したドウグラス・ルイスの不調だ。 ポジション争いに敗れたことから、セリエAでの先発出場は2試合しかなく、リーグ戦とUEFAチャンピオンズリーグ(CL)でそれぞれ1度ずつPKを献上するなど、期待されていたパフォーマンスを発揮できているとは言い難い。 ただ、ドウグラス・ルイスが不調に陥っているのは今季に始まったことではない。彼は2024年を通して絶不調であり、2023/24シーズンにアストン・ヴィラで記録した成績を見るとそれがよくわかる。 2023/24シーズンの前半戦はドウグラス・ルイスのキャリアの中でもベストなパフォーマンスで、得点関与にフォーカスすると公式戦29試合で7得点5アシストを記録。ところが年が明けると25試合で3得点4アシストと得点に絡む機会が大きく減少した。 それまでは見られなかったロストから失点にも絡むなど、求められる役割が変わっていない中でプレーに精彩を欠くようになり、オリンピアコスとのUEFAカンファレンスリーグ準決勝では、キャリアを通して初のPK失敗と痛恨のPK献上でベスト4敗退の要因の一つとなっていた。 今夏に行われたコパ・アメリカでもPKを失敗し、ユベントス移籍後も2023/24シーズン後半戦でみせた不調を引きずっているように見える。この状況を打破するためには再び自信を取り戻すしか方法はないだろう。