祖母の「人生」に重ねた〝洗濯バサミ〟 「西日を浴びて輝いていた…」アートにして広がった世界
アート要素を色濃くして広がった世界
初めて洗濯バサミの「美しさ」に気付いた岡本さん。それまでも「0から1を生み出す」創作活動をしていたため、「洗濯バサミでアート表現をしようかな」という思いがわきました。 しかし、アーティストとして芽が出ず「長い間苦しさも経験していた」ことから一時保留に。考えた末に、洗濯バサミでアートを作る「洗濯バサミアーティスト」ではなく、美しい洗濯バサミの写真を撮る「洗濯バサミフォトグラファー」として活動していくことに決めました。 「洗濯バサミの美しさは、絶対に共感してもらえる」と思いSNSでの投稿を始めましたが、当初はその感覚が伝わらず「世の中の多くの人は、あまり洗濯バサミに注目して生きているわけではない」と実感することになりました。 その後、「洗濯バサミ草」の投稿でアート要素を色濃くしたところから世界が広がり、写真の撮り方次第でも洗濯バサミの多様な表情を伝えることができると確信したといいます。 「今でも洗濯バサミを撮影しながら西日に輝く洗濯バサミを見た日のことを思い出したり、その日の1日の自身や世の中の出来事などを洗濯バサミフォトに重ねて、常に『こうじゃないか、あぁじゃないか』という自問自答を繰り返しています」
「オシャレでクール」海外にも伝えたい
「洗濯バサミフォトグラファー」として活動を始めて3年。「洗濯バサミは美しい」という思いは揺るぎません。 365日ほぼ毎日洗濯バサミを発信し、定期的に何万という「いいね」を集めていますが、「洗濯バサミの投稿を見てもらうのは本当に難しい」と頭を抱えます。 「僕としては、風景や花、鳥、食べ物、モデルといった被写体と同じ魅力があるのが洗濯バサミだと思っています。それを日常的に楽しんで見てもらえるとうれしいですが、どうしたらこの魅力を伝えられるのだろう……と日々感じていますね」 洗濯バサミは、なじみのある「日常品」である一方、アートとして「人の感性や人生が反映される余白がある」存在です。 今後も「洗濯バサミは美しい」という気持ちを大切に活動を続け、ゆくゆくは国境を越えて魅力を伝えたいとも考えています。 「海外の方にも『日本の洗濯バサミってこんなにオシャレでクールで美しいんですよ』ということを知ってもらいたいですし、洗濯バサミフォトを見てもらう機会があればいいなぁと思います」