【密着】ベトナムの少数民族が暮らす秘境で、観光産業を盛り上げようと奮闘する娘へ届ける両親の想い
ベトナム・ムーカンチャイ。ここで少数民族のために奮闘する高田優佳さん(26)へ、茨城県で暮らす父・弘治さん(58)、母・智子さん(56)が届けたおもいとは―。
青年海外協力隊として赴任先の知名度アップと観光資源の開発を担う
優佳さんが住んでいるのは、首都ハノイから約300キロ、北西部の山岳地帯にある小さな街・ムーカンチャイ。少数民族のモン族が暮らしている。この街の名所が、見渡す限りの急斜面に広がる圧巻の棚田。ベトナム国家文化遺産に指定され、海外の有名旅行雑誌では「世界で最もカラフルな場所」の1つに選出された。しかし険しい山道など村へのアクセスが悪いこともあり、観光客の姿はまばら。そこで優佳さんは青年海外協力隊として4か月前から現地に赴任し、「もっと観光客を呼び込みたい」という地元の声に応えて、ムーカンチャイの知名度アップと観光資源の開発を担っている。 実は以前は千葉で働いていたという優佳さん。だが、「ある日突然、『青年海外協力隊に行くから』って…」と、母・智子さんは娘から伝えられたときの状況を明かす。父・弘治さんも「学生のときから散々いろんな国に行っていた」と娘の行動を振り返りつつ、「今は日本人が職場にいないようなので、コミュニケーションが…ベトナム語もスムーズに喋れるわけでもなく、大丈夫なのかな」と心配する。
美しい棚田に加えて、優佳さんが新たな名物になると見込んでいるのが、織物。モン族の民族衣装の元となるもので、「織物村」と呼ばれるチェクニャ村では現地の女性が糸をつむぎ布を織っている。その1人であるニン・リーさんは、優佳さんの仕事に協力してくれる良き理解者だ。 彼女らが作る織物には、ろうけつ染めで様々な模様が施されている。これらは1つ1つに意味があるが、実はモン語には文字がないため、これまで観光客に模様の説明をする方法がなかったという。そこで優佳さんは文献を調べたり、有識者に話を聞いて模様の意味を探り、一覧表を作っている。 さらに刺繍が加えられたモン族特有の織物は、すぐれた特産品ながらこれまではすべて地元の人に向けたものだった。優佳さんはこの織物を活かして、観光客が気軽に買える土産物の開発も手掛けている。