「牛鍋セット」5000円。カウンターの目の前で仕立て、熱々を提供してくれる。この日の肉は仙台牛。「赤身の強い牛肉を選んでいます」とは廣瀬和也料理長。すき焼きのザクも、よもぎ麩や千住ねぎに玉ねぎ、筍等々バラエティ豊か。奥がメレンゲ状に泡立てた名物の卵

◆すき焼きのスタイルを一新 "すき焼き"といえば、霜降りの肉をお座敷で鍋を囲みつつ恭しくいただく――。 【写真】お座敷で鍋…というすき焼きのスタイルを一新するカウンター席がこちら そんなイメージが強かったすき焼きのスタイルを一新。 カウンターで、しかもお一人様から楽しめる新店が3月にオープンした。場所は虎ノ門。桜田通り沿いにさりげない佇まいを見せる「すき焼き あさい」がそれだ。 とはいえ、味つけは定石通り。醤油と砂糖、酒のシンプルな割下をベースに鰹出汁でうまみの調節をしている。

牛鍋セットにつく先付けとデザート。手前が「北海ダコの土佐酢ジュレがけ」、奥は「季節のシャーベットのシャンパンゼリーがけ」で、この日は夏みかんのシャーベット。先付けも季節で替わる。牛鍋のほか、予約をすれば夜と同じコースも注文可能。お土産のすき焼き弁当5000円もある

◆名店の伝統と味をカウンター席で気軽に 「夜はすき焼きがメインのコースですが、ランチには牛鍋をご用意しています」。 笑顔でこう語るのは、女将の篠崎由美さん。今はなきすき焼きの名店、赤坂「よしはし」で長らく仲居を務めていたベテランだ。 その「よしはし」の片鱗を感じさせるのが卵。通常は溶きほぐす程度だが、ここでは白身のみをメレンゲ状態になるまで攪拌。あわあわとしたメレンゲが、甘辛味を優しく含んだ牛肉にふうわりと絡み、これまでとはひと味違う食味を口中で演出する。 肉はもちろん黒毛和牛。あえて赤身の強いイチボ（腿の一部）を選び、肉本来の味わいを楽しませてくれる。 ーーーーー ●東京都港区虎ノ門3-11-15 SVAX TTビル1F ●電話:03・6452・9995 ●11:30～15:00、17:30～23:00 日曜ほか不定休 ●昼/牛鍋セット5000円、夜/おまかせコース2万900円（要予約）　※夜 のみ別途10％サービス料 ●アクセス/東京メトロ神谷町駅より徒歩3分、虎ノ門ヒルズ駅より徒歩4分 ーーーーー （撮影=上田佳代子）