「おじいちゃん超えてる」大垣日大、監督の孫が反撃の口火 センバツ
◇センバツ第1日(18日)1回戦 ○沖縄尚学4―3大垣日大(岐阜)● 大垣日大の阪口慶三監督は甲子園通算40勝が懸かり、「気合が入っていた」という。東邦(愛知)時代を含めて34回目の甲子園。「区切りの1勝」に向けて、その思いに応えようといわんばかりに躍動したのは孫の高橋慎だった。 【接戦となった大垣日大vs沖縄尚学を写真で】 満塁本塁打で4点を先取された直後の四回。1死から高橋は内角高めの直球を引っ張って右前打で出塁すると、走塁も光った。続く4番・米津煌太の右前への飛球に、一塁走者の高橋は二塁ベース手前で一旦は止まりながらも、打球が落ちる前に再び加速し、三塁を陥れた。 進塁か帰塁か。判断が難しい場面だったが「普通に練習していることなんで」とサラリと言ってのけた。次打者の遊ゴロが失策となって生還。好走塁から1点を返し、消沈しかけたベンチのムードを変えた。 第1打席でチーム初安打を放つと、第4打席でも二塁強襲の内野安打で出塁し、4打数3安打の活躍だった。「甲子園は全部の力が出せるすごい場所」。巧みなバットコントロールを生かし、自信に満ちあふれたプレーで1点差まで追い上げる原動力となった。 「孫だから、他の選手よりも厳しく言っている」という祖父の阪口監督も舌を巻く。「誰に似たのか分からんけれど、良い打者だね。全く穴がない。おじいちゃん(の現役時代)をはるかに超えている。練習と試合で(プレーが)変わらない選手も珍しい」。そう話す表情は頼もしい孫を見る目である。 5月で79歳を迎える阪口監督が「夏に全力で40勝を目指します」と言えば、高校野球ラストシーズンの高橋も「勝ち続けたい」。「祖父孫鷹(だか)」で挑む唯一無二となる最後の夏に向かう。【浅妻博之】