ドクター直伝! 痔にならないための「排便習慣」とは?「考える人」ポーズはNG【40代・50代ご用心!「痔」はお尻の生活習慣病⑤】
裂肛や痔核が再発しやすい人は、自分でも気づかないうちに肛門に負担がかかっていることが多いもの。女性のための肛門科専門外来のエキスパート、消化器外科医の高橋知子さんに、痔にならないためのアドバイスをいただいた。排便時の姿勢や腸の動きをよくする呼吸法など、ぜひ参考に。
日頃の排便習慣をチェックしよう
裂肛や痔核などの痔にならないためには排便習慣を整えることが欠かせない。一度でも痔の症状を体験した人は、再発予防としてもぜひ実践したいところ。 「排便回数には個人差もあり、1週間に3回出ているのなら正常な範囲です。毎日排便がなくても、不快感がなければ便秘ではありません」と、高橋先生。むしろ重要なのは、肛門に負担をかけない排便を心がけること。 「例えば長時間トイレにこもり、便意がないまま強く腹圧をかけていきんでしまうと、肛門部の静脈叢のうっ血や、肛門粘膜への負担が増してしまいます。まずは、便意を感じたタイミングを逃さずにトイレに行くことが肝心。しっかりと便意を感じてから便座に座ると、繰り返しいきまなくても、するりと排便できますよ。そして、便座に座る時間を5分以内にとどめることも大切です」 《排便習慣を整えるためのポイント》 ・1週間に3回お通じがあれば、毎日なくてもOK ・しっかりと便意を感じてから便座に座る ・排便時間は5分以内に ・排便・排尿の際は、腹圧をかけて出し切ろうとしない
姿勢に注意!猫背は肛門に負担がかかりやすいって、知ってる?
さらに、肛門を守るために意識したいのが、日頃の何気ない姿勢だ。座りっぱなしなど、長時間同じ姿勢で過ごすのはよくないといわれるが、なかでも避けたいのが“背中を丸めた姿勢”。猫背の姿勢は腹圧が強まって骨盤底筋を押し下げ、肛門を圧迫しやすいからだ。 「そうでなくても更年期世代は骨盤底筋が緩みやすいお年頃。腹圧が高まると、肛門部血管のうっ血を招いて痔核が大きくなったり、肛門の粘膜が切れやすくなったり、痔の再発リスクが高まります。排便時の腹圧上昇を防ぐためにも、猫背はNG。背すじを伸ばしたよい姿勢を意識しましょう」 その際、よい姿勢の目安となるのが、“みぞおちから恥骨までの距離”をできるだけ長く保つこと。おへその下に手を当てて、“みぞおちから恥骨までの距離”を長く保つように意識すると、背すじが伸びて姿勢がよくなる。 「肛門が圧迫されて、痔核のうっ血を招くことがないようにするためにも、日頃から背すじを伸ばしたよい姿勢を意識しましょう」