「なんだてめーは、いい気になってんじゃねーぞ」「このミス」をはじめ4大ミステリ賞を完全制覇 全8冠&直木賞候補にもなった頭脳バトル小説『地雷グリコ』の高評価に作者も驚き[文芸書ベストセラー]
12月17日トーハンの週間ベストセラーが発表され、文芸書第1位は『本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~短編集3』が獲得した。 第2位は『このミステリーがすごい! 2025年版』。第3位は『架空犯』となった。 【マンガ版『地雷グリコ』】ミニスカートに萌え袖、いちごオレにぶかぶかな服……ちょっとゆるい雰囲気が魅力の女子高生が主人公 2位の『このミステリーがすごい! 2025年版』をはじめ、今年の年末ミステリランキングを席巻したのが、7位にランクインした『地雷グリコ』。同作は勝負事にやたらと強い高校一年生の射守矢真兎を主人公とした連作ミステリ短編集。表題作は文化祭の場所取りをめぐり、生徒会の切れ者と特殊なゲームで対戦するお話。じゃんけんで階段を登る「グリコ」。そのルールに手を加え、お互いに特定の段に「地雷」をしかけ、地雷を踏んだ相手を10段降らせることができる。独自ルールのなかで相手をどのようにハメるのか、どのように勝つのか。心理戦と読み合いが繰り広げられる。他の短編も同様に「坊主めくり」「ポーカー」などにオリジナルルールが加えられた対戦が描かれる。主人公の真兎をはじめとする登場人物たちの学園生活や人間関係もゲームの内外で描かれ、青春学園ものとしても楽しめる。高度な頭脳ゲームの魅力だけでなく、キャラクターや人間関係の機微の描き方を高く評価する声も多い。 驚くのはその圧倒的な受賞歴。2023年11月の発売のため昨年のランキングには漏れたが、今年は一年を通してミステリ界の話題を独占しつづけた。5月には「第37回山本周五郎賞」「第77回日本推理作家協会賞」〈長編および連作短編集部門〉「第24回本格ミステリ大賞」【小説部門】の3つの文学賞を連続で受賞。6月には第171回直木賞の候補作に選出。年末が近づき発表された「ミステリが読みたい! 2025年版」(ハヤカワミステリマガジン)『このミステリーがすごい! 2025年版』(宝島社)「週刊文春ミステリーベスト10」(週刊文春)『2025本格ミステリ・ベスト10』(原書房)の4大ミステリランキングでいずれも国内部門1位を獲得。恐ろしいほどの高評価となった。 作者の青崎有吾さんはこの状況を受け、《すごいですね。びっくりですね。こうなると作者自身も戸惑ってしまうというか、自著に対し「なんだてめーは」みたいな気持ちが湧いてくるので不思議です。ちょっとウケたからってよぉ……いい気になってんじゃねーぞ……これで勝ったと思うなよーーー!!! 》とコメントを発表。 10月にはコミック誌「ヤングアニマル」でマンガ版の連載もはじまった。現在受賞を記念しウェブマンガサイト「ヤングアニマルWeb」で全話無料公開中となっている。無料公開は12月26日まで。