中国株ファンドへの見直しが進むか? 3年連続株安から出直り機運、不動産向け総合経済対策も発動
「中国株式は外せない資産」と強調する運用会社の商品企画やマーケティングの担当者は少なくない。中国株は2000年代に「BRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)」ブームに乗ってリーマンショックの前まで大幅に上昇する局面があり、リーマンショックの調整後も2015年頃までは新興国のリーダーとして株高局面が続いた。ところが、米中対立が先鋭化し、その後、中国不動産大手・恒大集団(エバーグランデ)の経営悪化などによって中国不動産バブル崩壊といった見方が台頭し、不良債権を抱えた銀行の経営不振によって経済が停滞する「日本化」の懸念が高まったこともあって株価が低迷する時期が続いている。MSCI中国指数は2021年から2023年まで3年連続で2ケタマイナス成長の不振だが、「中国株のPERはMSCI中国ベースで11倍程度と2000年以降の平均14.67%を大幅に下回る水準にある。3年連続で株価指数が下落(2000年~2002年)した後には株価が大幅に反発した(2003年は80%上昇)こともあり、きっかけさえあれば中国株の復調が期待される」との見方もある。
中国政府は5月17日に、総合的な不動産支援策を発表した。何立峰副首相が売れ残っている不動産物件を地方政府が買い取って地域の低所得の住民向けに再販することを認めると発表した。同時に中国人民銀行(中央銀行)がローン金利の下限撤廃や頭金比率の引き下げなど住宅ローン規制の緩和を発表した。さらに、1兆元(1380億ドル)規模の貸付制度を確保し、手頃な価格の住宅向け再貸付制度(銀行融資5000億元相当)を立ち上げるほか、古い住宅が立ち並ぶ都市部の再開発といった政策を支援するため、担保補完貸付制度(5000億元規模)を利用可能にするとした。これを受け、恩恵が期待される銘柄を中心に買いが広がってCSI300不動産指数は同日に9.1%上昇した。中国政府の景気刺激策の動きが鈍いことが、株価の頭を抑えてきただけに、政府と中央銀行が足並みをそろえた対策を打ち出した意義は小さくないと考えられる。