中国株ファンドへの見直しが進むか? 3年連続株安から出直り機運、不動産向け総合経済対策も発動
中国政府の不動産対策を受けて5月17日の香港・ハンセン指数は19553ポイントと2023年5月以来約1年ぶりの高値に進み、上海総合指数や深セン成分指数も年初来の高値水準に上昇している。2024年になってからの年初来上昇率は、5月17日時点で、ハンセン指数は14.70%と、TOPIX(東証株価指数)の16.03%にはおよばないものの、米S&P500の11.18%や英FTSE100の8.88%、独DAXの11.66%を上回っている。中国本土の上海総合は6.02%、深セン成分指数は1.94%と遅れているものの、底入れ機運は高まりつつある。
3年連続で株価が下落したことによって中国株ファンドの人気も離散してしまっている。現在、中国を単独で投資対象にするファンドで残高トップの「深セン・イノベーション株式ファンド(1年決算型)」は残高が206億円しかない。このファンドは2021年6月には741億円の残高があったところから3分の1以下の水準だ。第2位の「三井住友・ニュー・チャイナ・ファンド」も176億円だ。こちらも2021年6月の残高約340億円から約半減している。このようにファンドの純資産総額が減少しているのは、株価が下落したことに加え、資金が流出した影響も大きい。多くの投資家が、この3年で中国株に見切りをつけて、投信を解約してしまったのだ。
しかし、今年に入ってファンドの基準価額は回復してきている。「深セン・イノベーション株式ファンド(1年決算型)」は4月末時点で過去3カ月のトータルリターンが24.18%、 「三井住友・ニュー・チャイナ・ファンド」も同16.14%と3カ月で2ケタリターンをあげている。これは、同期間の「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の10.78%、「eMAXIS Slim国内株式(TOPIX)」の8.55%などを上回る成績だ。もちろん、数カ月間のパフォーマンスが良かったからと言って、その結果だけで、これから先も期待できるというものではない。