梅雨明け「観測史上最も早い」は幻に 気象庁が確定値を発表
気象庁は1日、「観測史上最も早い」とされていた関東甲信地方などの梅雨明け時期について、速報段階の「6月下旬」より約1カ月遅い「7月下旬」に確定したと発表した。「速報値」と「確定値」が変更されるケースは少なくないが、ここまで広い範囲で大幅に変更されるのは初めてだという。 今年の6月下旬から7月初めにかけて、東・西日本を中心に晴れの日が続き、真夏でも珍しいような高温が10日程度続いた。こうした天候状況になることを見据え、気象庁は6月27日~29日にかけて、九州南部、九州北部、四国、中国、近畿、東海、関東甲信、北陸、東北南部の9地方の梅雨明けを「速報値」として発表。この段階では、1951年の統計開始以来、7地方で「最も早い梅雨明け」、8地方で「最も短い梅雨」となった。 しかし、7月中旬から上空の寒気で天候は不安定となり、その後、7月中旬の後半は停滞前線、7月下旬の初めは低気圧の影響によって、曇りや雨の日が10日程度続いた。さらに北陸や東北については、前線が停滞しやすかった影響で8月になっても曇りや雨の日が続いた。 気象庁はこのような7月中旬以降の天候の経過を総合的に検討した結果、6月下旬に梅雨明けを発表した9地方のうち、九州南部、九州北部、四国、中国、近畿、東海、関東甲信の7地方の梅雨明け時期を約1カ月後の7月下旬に見直し、「確定値」とした。この結果、東海を除く6地方では、むしろ平年より遅い梅雨明けになった(東海は平年並み)。 なお、「確定値」では、北陸、東北南部、東北北部の梅雨明け時期については「特定できない」としている。 気象庁によると、7月中旬以降の天候不順の原因となった偏西風の蛇行をうまく予測できなかったことが、梅雨明け時期が速報値と確定値とで大きく変わった原因だという。 気象庁の楳田貴郁・異常気象情報センター所長は「われわれの予測の技術がまだ十分でないということを痛感している。ただ、技術向上は簡単にできることではなく、今後も、梅雨明け発表後に大雨が起きることはありうる。段階的に発表される防災気象情報を活用してほしい」と話した。