【クルマもクールビズ】 日産が触って実感できる、熱くならない塗装 「自己放射冷却塗装」開発
優れた冷却機能を実感し、期待は高まる
実証実験の取材では、「自動車用自己放射冷却塗装」を塗布された車両と、そうでない通常車両との比較が行われた。 車両は、業務に使われているNVクリッパーバンと、BEVの「サクラ」の2種類だ。どちらもホワイトの車両となるが、よく見ると「サクラ」はノーマルがホワイトパールなのに対して、「自動車用自己放射冷却塗装」はソリッドのホワイトであった。 さっそくボンネットに触れてみれば、明らかに温度が異なっていた。機材を使って温度を測ると、ノーマルは48.3度なのに対して、「自動車用自己放射冷却塗装」は40.9度。48.3度は長く触ってはいられないが、40.9度ならば人肌プラスアルファといった感覚だ。ノーマルのグレールーフはさらに熱くなっていた。確実な効果を実感することができたのだ。 効果のほどは実感できた。そうなると、次は実用化が気になるところ。 ところが、まだまだ課題はいくつも存在する。まず、欲しいのはカラーバリエーションだ。今のところ、最も大きな効果が望めるホワイトのみ。しかし、量産化を見据えて、カラーバリエーションの増加は検討中だという。とはいえ電磁波をカットする金属片の入ったメタリック系は難しいとか。 そして最大の課題は、塗装の厚みだ。現状では、現状では60μm(0.06mm)ほどが限界だという。現在の量産車の塗装は20μm(0.02mm)には届かない。 そのため、量産車ではなく、手作業で塗装される特装車が最も実用化に近いという。どちらにせよ、効果的な素材なだけに、一刻も早い実用化を期待したい。
鈴木ケンイチ(執筆/撮影) AUTOCAR JAPAN(編集)