際限なく増加する リテールメディアネットワーク 、標準化の遅れが深刻
記事のポイント リテールメディアネットワーク(RMN)のは際限なく増え続けており、米国内に45、全世界で80以上のRMNが存在。これらは今後も増加する見込み。 しかし、これらのRMNごとに異なる効果測定基準が設けられており、統一された標準指標が存在しない。そのためマーケターは広告効果を正確に判断できない。 将来的にはRMNの数が減少し、大手と小規模事業者が異なる戦略を取ることで業界が再編される可能性がある。 近年、リテールメディア専門の広告プラットフォームとして台頭してきたリテールメディアネットワーク(以下RMN)が急増するなか、企業の広告予算をめぐる争奪戦が激化している。 デロイトデジタル(Deloitte Digital)で広告・マーケティング&コマース部門のマネージングディレクターを務めるケリー・レジャー氏の予想では、RMN増加の勢いはしばらく続きそうだという。レジャー氏は米ニューオーリンズで12月4日から6日まで開催されたDIGIDAY Programmatic Marketing Summit:以下DPMサミット)に登壇し、デロイトデジタルが動向を把握しているRMNが米国内だけで45、全世界で80に上り、今後もまだ増える見込みだと述べた。 とはいえ、RMNがこのまま際限なく増加しつづけるとは考えにくい。新たなRMNを立ち上げる企業が次々と現れるなか、将来的には業界再編が起こると専門家は予想する。
ブランドと小売事業者の関係は複雑化
「米国内の広告投資総額からすると、100ものRMNは生き残れない」と、レジャー氏はDPMサミットの壇上で指摘した。「現実的に考えれば、知名度のあるブランドは広告費の投入先を、パフォーマンスの高い5から10程度のRMNに絞るだろう」。 つまり、有力ブランドは過去数年間の実績を誇る大手RMNを選ぶという見方だ。一方、地方の小規模事業者は、出資元のプライベートエクイティ会社や持株会社の傘下企業との連携か、協同広告ネットワークの活用により、自前のRMN開設を目指す可能性がある。 今後、統廃合が進むかどうかにかかわりなく、マーケターはいま、RMNが増えつつある現状に対処するしかない。とくに、消費財ブランド大手のマーケターと小売事業者の関係は複雑化しており、マーケターはRMNへの投資額の多寡が棚の商品配置に与える影響も考慮しながら、棚割りを交渉する必要がある。 グループエム(Group M)のコマース事業部門を率いるエグゼクティブディレクター、ローレン・ラヴィン氏はDPMサミットの別のパネルディスカッションで、RMNの急増にともない、「小売事業者と消費財ブランドの関係がより複雑になる」と述べた。