際限なく増加する リテールメディアネットワーク 、標準化の遅れが深刻
広告運用の効果測定に一貫した基準がない
マーケターにとって、RMNに関する悩みはそれだけではない。RMNはプラットフォームの機能向上により、オフサイトのディスプレイ広告を販売するようになった。「RMNのオフサイト広告では、セルフサービスのプログラマティック取引機能が備わっていない」とラヴィン氏は指摘する。「そうなると我々は広告運用の最適化ができない。多くの取引で手作業が発生し、担当者の掲載申し込みによる買い付けが必要になる」。 ラヴィン氏はこう続ける。「我々エージェンシーは、クライアントのディスプレイ広告の効果を確実に引き出すべく、セルフサービス型プログラマティック取引でコントロールをきかせ、最適化しながらの運用を心がけている。すべての取引でセルフサービス方式の広告枠買い付けができる機能をRMNに求めたい」。 もうひとつ、マーケターの頭痛の種は、RMNを介した広告運用の効果測定に一貫した基準がなく、標準化が進んでいないことだ。広告の成否の判断には、各RMN事業者の裁量で決められた基準が採用されている。たとえばROAS(費用対効果)をパーセンテージ表示にする、アトリビューション期間を60日間に設定するといったルールはRMNごとに異なる。 「事業者はそれぞれ、自ら定めたガイドラインにしたがってRMNを運営している」とラヴィン氏はいう。「まるでRMNが自分の仕事を自己採点し、結果を広告パフォーマンス指標として我々に提示しているかのようだ」。
早急な標準化を求める声
そんな状況では、マーケターが予算配分を決める際に広告効果の高いRMNを選ぼうとしても、レヴィン氏が言うように「選択肢が多すぎる」ため、どこに広告費をつぎ込むべきか、判断がますます難しくなる。 マーケターやエージェンシー幹部が望むのは、RMNの標準化に向けた業界の取り組みの進展だ。インタラクティブ広告協議会(IAB)が2023年9月、先鞭をつける形でリテールメディア測定ガイドライン案を発表し、パブリックコメントを募集し始めた。しかし、標準化の確立がいつになるかは、まだ定かではない。 [原文:With the rise of retail media networks, marketers continue to grapple with lack of standardization] Kristina Monllos(翻訳:SI Japan、編集:分島翔平)
編集部