討論会惨敗のバイデン米大統領のささやかれる「代替候補」、トランプ氏を圧倒しうる著名人とは 「もしトラ」恐れる民主党で議論巻き起こる
11月のアメリカ(米国)大統領選挙で再選を目指す民主党候補のジョー・バイデン大統領が討論会で共和党候補のドナルド・トランプ前大統領に惨敗し、トランプ氏が大統領に返り咲く「もしトラ」を恐れる民主党の内部では代わりの候補を立てるべきだとの議論が巻き起こっている。政界関係者や現地メディアなどから代替候補として名前が挙がるのは女性初の大統領を目指してきたカマラ・ハリス副大統領にとどまらず、トランプ一族と意外な〝因縁〟がある有力州知事、大手ホテルチェーン創業家の知事ら多士済々だ。そんな中でも、大統領選候補になった場合にはトランプ氏を圧倒できるとの世論調査結果が出た著名人が1人いた―。(共同通信前ワシントン支局次長=大塚圭一郎) 【写真】バイデン氏の高齢不安「加速」 世論調査72%「認知機能衰え」
▽3年半の雇用創出は「1万5千人」!? 6月27日夜(日本時間6月28日午前)、アメリカ南部ジョージア州アトランタで開かれた大統領選の候補者討論会。81歳とアメリカ史上最高齢の大統領となっているバイデン氏が入場する足取りは弱々しく、自らの政権の実績を強調する場面で失言を繰り返し、目がうつろで声がかすれ、言いよどむ場面も相次ぐなど失点続きとなった。 新型コロナウイルス禍からの経済回復を背景にアメリカの労働市場は持ち直してきたが、バイデン氏はこれまでの約3年半の自身の政権下で「1万5千人の雇用を創出した」と実際の約1500万人よりも〝過少申告〟する失態を演じた。 また、「メディケア(高齢者向け公的医療保険)を最後には破壊する」と言った後に押し黙ったため、今年3月の一般教書演説で「メディケアを守り、強化する」と強調していた高齢者支援の方向性を180度転換させたかのような失言となった。
敵失に乗じた78歳のトランプ氏は「彼(バイデン氏)は正しい。彼はメディケアをたたきのめし、メディケアを殺し、メディケアを破壊している」と訴え、バイデン政権の失点として印象づけようとする始末だった。 さらに、南部のメキシコ国境を越えてアメリカに入国しようとする移民が急増していると問題視されたバイデン氏は、国境管理を強化すると主張したもののろれつが回らなくなった。 トランプ氏はすかさず「彼(バイデン氏)が発言の最後で何を言ったのかを理解できなかった。彼も自分が何を言っているのか分からなかったと思う」と切り捨てた。 ▽トランプ氏勝利が67% CNNテレビが6月27日に有権者に対して実施した世論調査によると、討論会でトランプ氏が優勢だったとの回答が全体の67%を占め、バイデン氏の33%を圧倒した。 討論会での惨敗を受けて民主党は「完全なパニックに陥った」(AP通信)とされる。民主党が大統領選候補を正式に決める8月19~22日の中西部イリノイ州シカゴでの党大会に向け、代わりの候補者を立てるべきだとの声が噴出した。