クオリティよりも「コスパ」重視…1話1分「縦型ショートドラマ」製作の知られざる舞台裏
「ショートドラマ」が大人気に
スマートフォンのスクリーン比に合わせた縦型で、1話1分~3分の超短尺で物語が進んでいくドラマ、通称「ショートドラマ」が、若者の間で急速に人気を集めている。 【写真】日テレが失速したのは、「あの番組の打ち切り」が原因かもしれない そもそもショートドラマは中国で生まれた。2022年に中国政府が発表したショートドラマ振興政策「関于推動短劇創作繁栄発展的意見」などの影響を受け、コンテンツが急増。中国国内で一躍人気コンテンツの一つとなった。今年に入ってもその成長はとどまるところを知らない。 中国に拠点を置く、モバイルゲームやショートドラマなどデジタルコンテンツを中心とした市場調査会社DataEyeが2024年7月に発表した報告書によれば、中国市場は2024年いっぱいで日本円にして約1兆円、26年には約2兆円規模にまで成長することが見込まれているそうだ。 また日本テレビやテレビ東京など日本のテレビ局もショートドラマの製作に乗り出しているほか、米国やカナダなど英語圏でも普及が進む。先のDataEyeの報告書によれば、中国を除く世界市場も成長が著しい。2026年には50億ドル(約7700億円)を超える可能性があるという。 ドラマや映画など従来の映像コンテンツとは全く異なる建付けのショートドラマが、なぜここまでウケているのか。中国発のショートドラマコンテンツの日本ローカライズや、オリジナル作品の製作などを手掛ける株式会社和雅CEOの金光国(52)氏は、スマートフォンに特化したコンテンツであることがショートドラマ人気の一つの要因だと指摘する。 「スマートフォンを一人一台保有するのが当たり前の時代になりました。映画館やテレビと異なり、いつでも好きなようにコンテンツに触れられる。空いた時間にすぐ手に取れる。スマートフォンに最適化したコンテンツだからこそ、ショートドラマは広く視聴されている。需要は伸び続けており、今はコンテンツが圧倒的に足りていない状況です」(以下、発言は金氏) 同じようにスマートフォンで広く見られているのが、TikTok動画やYouTubeのショート動画だ。こちらも短尺かつ縦型で、スマートフォンに最適化されたコンテンツと言えそうだ。かわいらしい犬猫の姿や、日常の風景を収めた動画が数百万回再生されていることもある。縦型ショート動画とショートドラマを分けるものとは何なのか。 「TikTokやYouTubeショートなどの成功により、縦型で短い尺の動画が市場に受け入れられることはわかりました。そこに少しだけ物語の要素を足し、いかに短い時間で感情をあおり、次の動画に進ませるか工夫を凝らしたものがショートドラマと言えるかもしれませんね」