ヘセルの血統宿るパフォーマンスを手中に 電動ロータスの第3弾、エメヤに欧州試乗
伝統受け継ぐドライバビリティ
エメヤSの乗り心地は速度域を問わず快適で、当然のことながらキャビンは静寂そのもの。 それ以上に印象的だったのがステアリングホイール、スロットルペダル、ブレーキペダルのコントロール性ならびにリニアリティが優れていることで、このため走り始めた直後から自信を持ってクルマを操ることができる。 大パワーEVのなかには、軽くスロットルペダルを踏み込んだだけで急加速を見せるモデルがあるが、エメヤSはそれとは大違いで、クルマの本質を見極めたオトナのセッティングと評したい。 おかげでワインディングロードも安心して攻めることができるのだが、それとともに驚かされたのが超高速域でも加速感が鈍らないこと。 エメヤSの最高速度は250km/hなのだが、アウトバーンの速度無制限区間では、それこそあっという間に250km/hまで到達したことには舌を巻いた。 試乗会の後半では高性能版のエメヤRをドライブしたが、基本的な印象はエメヤSと共通。ただし、同様に超高速域で全開加速を試すと、フロントの接地性が薄れていくような感触が伝わってきた。 この辺は、918psのハイパワーがなせる技なのか、それとも試乗車の装着タイヤがエメヤSは22インチのミシュラン・パイロット・スポーツEV、エメヤRは21インチのピレリPゼロRと異なっていたためなのか、理由は判然としない。 いずれにせよ、快適性の高さや優れたドライバビリティという点において、エメヤはロータスの伝統を正しく受け継いでいるといえる。 ちなみに、1966年以来、ロータスの本拠地とされてきたイギリス・ヘセルのスタッフは、車両の評価を中心としていまもロータスのクルマ作りに関わっているそうだ。
試乗車のスペック
■ロータス・エメヤS 全長×全幅×全高:5139×2123×1459mm 0-100km/h加速:4.2秒 駆動方式:4WD 車両重量:2490kg システム最高出力:611ps システム最大トルク:79.4kg-m 駆動用バッテリー:リチウムイオン電池 総電圧:800V 総電力量:102kWh 航続距離(WLTP):540km タイヤサイズ:265/35R22(フロント)305/30R22(リア)
大谷達也(執筆) AUTOCAR JAPAN(編集)