普通株式と種類株式、どちらを選択すべき?定款に記載する「株式」の扱い【司法書士が解説】
株券の発行
株券は、株主が保有する株式の証明書です。かつては株式取引の中心的な役割を果たしていましたが、現在では電子化が進み、株券の発行を省略する企業が増えています。新設会社はほとんど発行しません。 【株券を発行するメリット】 1.保有権の明確化 株主が株式を保有していることを証明できます。 2.担保価値の提示 金融機関などへの担保設定時に有効です。 【株券を発行しないメリット】 1.コスト削減 印刷費や保管費用が不要です。 2.管理の効率化 紛失や再発行の手間が省けます。 【株券を発行しない場合の定款記載例】 「当会社は株券を発行しない。」 株券の発行は、特殊な取引や担保設定が必要な場合に限定して検討するのが一般的です。
よくある質問
Q1:普通株式と種類株式は併用できる? ⇒A.可能です。併用することで、経営者や投資家それぞれのニーズを反映した資本政策を実現できます。 Q2:譲渡制限は解除できる? ⇒A.解除は可能ですが、定款変更には株主総会の特別決議が必要です。また、株式の譲渡制限のない会社(公開会社)は、取締役会(取締役3名で構成する機関)の設置が義務づけられます。 Q3:株券を発行しないと問題がある? ⇒A.多くの場合は問題ありません。 〈設定時のポイント〉 1.シンプルな株主構成には普通株式、複雑な資本政策には種類株式を活用。 2.譲渡制限を設けることで経営権を守り、必要に応じて柔軟な運用を。 3.株券の発行はコストや管理の効率化を考慮し、不発行がよい。 これらの選択肢を慎重に検討し、会社設立後も強固で柔軟な経営基盤を構築しましょう。 加陽 麻里布 司法書士法人永田町事務所 代表司法書士
加陽 麻里布