<アグレッシブ・’21センバツ東海大甲府>第1部 軌跡/3 関東大会 細田学園戦 エース成長した秋 /山梨
◇磨いた変化球、成果発揮 10月25日、東海大甲府は千葉県で開かれた秋季関東大会で、埼玉2位の細田学園との1回戦に臨んだ。 一回裏、マウンドに立つエース、若山恵斗投手(2年)はいきなりピンチに見舞われた。二塁打を打たれるなどし1アウト三塁。しかし、冷静さは失わなかった。続く中軸打者2人を変化球と直球を織り交ぜて三振に仕留めた。その後も要所を締めたほか、得意のけん制球で走者を3回刺し相手の攻撃の芽を摘み取った。「ベストのピッチングだった」。村中秀人監督はエースの成長を感じた。 秋季県大会を終えた10月上旬、村中監督は「関東大会は甘くない。変化球を磨こう」と若山投手に伝えていた。若山投手自身、県大会の投球に満足していなかった。変化球のコントロールが安定せず、直球ばかりに頼っていた。直球を狙い打ちされる場面もあった。「このままでは通用しない」。監督の言葉に焦りの色を濃くした。 関東大会までは約3週間。捕手の三浦諒太主将(2年)を相手に、持ち球のスライダーやカーブ、チェンジアップを投げ込み、効果的なボールの握り方やリリースポイントを探った。通常より約200グラム重い球を使い、指に感覚を覚えさせた。つかみ始めた投球フォームの確認も「体に染みこませるため、暇さえあればいつもやっていた」という。 細田学園戦ではその成果が遺憾なく発揮された。県大会に比べて制球力が高まった変化球を織り交ぜることで、130キロ台の直球が効果的に決まった。四回には相手2~4番打者を3者連続三振に倒すなど、この試合10奪三振をマーク。打線が15安打と奮起し、8―1で快勝した。村中監督は若山投手の変化球について、「たった3週間ですごく変わった」と驚く。 投手陣をけん引する若山投手の特性の一つとして村中監督は「素直さ」を挙げる。「言ったことを素直に聞き入れ、素直にやる」。走り込みが足りないと分かればすぐに走りに行ってしまうという。さらに「大きな舞台では一瞬の気の緩み、ちょっとした隙(すき)で負ける。それは精神力を欠いたとき。若山は精神力が強い」と評価する。 2回戦の対戦相手は、村中監督が1999年まで11年間監督を務めた神奈川の強豪、東海大相模。村中監督は「試合を作ってほしい」と期待を込め、若山投手を先発に指名した。【金子昇太】=つづく ……………………………………………………………………………………………………… ▽2020年秋季関東大会1回戦 東海大甲府 102001031=8 000001000=1 細田学園