ポルシェ・カイエン 詳細データテスト 無駄なアシストのないV8 クラス最高水準のドライバビリティ
使い勝手 ★★★★★★★★☆☆
■インフォテインメント ダッシュボードは、デジタル機器がかなりの面積を占めている。さらに1061ポンド(約20万円)払えば、10.9インチの助手席側達ディスプレイも追加できる。しかし、どれも収まりは自然だ。たしかに、最初はピクセルの壁と対峙するような気分だが、それはメルセデスGLEでも同じだ。おそらく、12.3インtのセンター画面がダッシュボード埋め込み式で、視線よりだいぶ低い位置なので、あまり気にならないかもしれない。 解像度はすばらしく鮮明で、ホーム画面のカスタムも簡単。アイコンはちょっと子供っぽいが、大きくて使いやすい。 Apple CarPlayとAndroid Autoは標準搭載。SpotifyやApple Musicは、ポルシェのOS上で、QRコードを読み込む必要がある。ダッシュボード下部のフタ付き小物入れの中に2口、後席側に2口、それぞれUSB-Cポートを設置。小物入れには、冷却機構を備えたワイヤレス充電器も備わる。 ■燈火類 標準装備のマトリックスヘッドライトはおみごと。コマンドポジションと相まって、クリアで正確に遠くまで照らすフルビームが視界を確保してくれる。 ■ステアリングとペダル ペダルのサイズは上々で、間隔も絶妙。ドライバー志向のSUVという開園のポジショニングを損ねるものはなにもない。
操舵/安定性 ★★★★★★★★★☆
オフィシャル書類を読み解いていくと、カイエンのヨーレベルが「いつものハイレベル」にあるという記述にぶつかる。公正を期すなら、このクルマの思いがけないほどスリップアングルを得られる能力を考えれば、ポルシェがこういう苦笑もののユーモアにひとりウケしてもしかたなくはある。 22年にわたり、カイエンはSUVの走りのダイナミクスにおけるベンチマークであり、これを脅かす存在はランボルギーニ・ウルスやフェラーリ・プロサングエといった、スーパーカーブランドによるフォロワーくらいだ。 10万ポンド(約1900万円)以下の価格帯だと、いまだに無敵だ。主要なライバルといえばレンジローバー・スポーツだが、あちらはずっとエレガントなハンドリングの持ち主であるいっぽう、SVRでない仕様では操縦性やアジリティで太刀打ちできない。ひとことで言えば、英国のスポーティSUVは、サルーン的なコーナリングなのだ。 アップデート版カイエンには、歴代のレガシーが息づいている。テストしたカイエンSは、後輪操舵とエアサスペンションを装備していたが、それらがなかったとしてもまちがいなく、トップクラスの挙動を見せ、持ち前の正確さで、A級道路でもB級道路でも、難易度の高いコースをうまくこなしたはずだ。 ヒップポイントは高いままだが、ほかのSUVより路面との距離が縮んだように感じさせるクルマだ。一体感と自然な手応えのあるステアリングは、コーナーへの直感的な進入を可能にする。よりスポーティなモードではスピードや進行方向を教えるのにちょうどいいくらいのロールのみを発生し、それ以上の無駄はない。スポーツプラスモードでは、911のベーシックなカレラくらいにはついていけそうだ。 そうはいっても、楽しいのはノーマルモードで、V8のトルク任せで流しているときだ。SUVでそれができるものはめったにないが、カイエンSはわずかなスロットルコントロールで、楽な走りをよろこびに変えてくれるのだ。