ポルシェ・カイエン 詳細データテスト 無駄なアシストのないV8 クラス最高水準のドライバビリティ
快適性/静粛性 ★★★★★★★★☆☆
エアサスであろうとなかろうと、ハンドリングと上質な乗り心地はトレードオフの関係にならざるを得ない。カイエンが絶対的に重視するのは前者で、それでいて後者もなかなかのものだ。とはいえ、ポルシェらしさをもたらす一体感は、ややはっきりとした路面への反応を生み、それが乗り心地をクラスベストから遠ざける要因となっている。 改良により、タイヤとホイールのサイズもアップ。ロードノイズの遮音性も高めてほしかった、とくに荒れた路面では。80km/hと113km/hでの室内騒音は63dBAと66dBAで、2019年のBMW X5 30dの62/64dBAに及ばない。もっとも、最近計測したレンジローバー・スポーツD300は、80km/h時は60dBAと静かだが、113km/h時には66dBAにまで跳ね上がった。 それを踏まえても、高速道路のお供としてはいいクルマだ。ノーマルモードなら、路面も吸収してくれる。視認性は良好で、エルゴノミクス的な快適性はすばらしい。 そしてポルシェは故意に、高級SUVの中では装備が乏しく、あれこれものほしくなるような内容にしててている。洗練性も運動性も満たしたいと思ってカイエンを買おうとすると、それに気づかされる。そしてオプション地獄にハマるのだ。これこそポルシェの常套手段。気づけば、アウディSQ7との9000ポンド(約171万円)近い価格差が小さくなっているのである。
購入と維持 ★★★★★★★★☆☆
カンパニーカーとしてはPHEVを選びたくなるだろうが、カイエンSは一考の価値ある仕様だ。これだけ万能性があり、キャラの濃いエンジンを積んで、8万4400ポンド(約1604万円)というのはなかなかのコスパだ。同クラスなら、BMW X5 M60iなら9万2455ポンド(約1757万円)、アウディSQ7が9万3215ポンド(約1771万円)、レンジローバー・スポーツのV8モデルは10万ポンド(約1900万円)を超えてしまう。 電動走行が必要というなら、EハイブリッドかS Eハイブリッドという選択肢もある。ただし、いずれもベースはV6だ。燃費面を重視する場合もV6ハイブリッドがおすすめだ。カイエンSのツーリング燃費は10.2km/Lで、970km近く走れる計算だが、高速道路を降りたら大喰らいっぷりを発揮。テスト時の平均は8.1km/L、ちょっと飛ばせば平気でその半分くらいまで落ちてしまう。