長濱ねるが「60代女性の離婚」から考える「個人の尊厳」と「幸せの追求」
自分の幸せを脅かすことには「NO!」を言ってもいい
「数年前の話になるのですが、知り合いの女性から60代で離婚をしたという話を聞きました。“亭主関白”な面がある夫からの理不尽な扱いを我慢している生活が限界になった、とのことでした。 『こんな風に扱われるのは、当たり前じゃない!』と、ある時ハッと気づき、これまで感じていた違和感や嫌悪感が一気に溢れ出してきて、そこから自分の本当の幸せはなんだろう? と考えるようになったんだそうです。そのまま籍を抜かずともお互いの生活は変わらなかったのかもしれないのですが、その女性は籍を抜くということを選びました。気持ちに整理をつけるためなのか、他にも何か理由があったのかもしれませんが、その決断をお聞きして、なんだかすごくいいなと思ったんです。 昔の日本では、女性がその年齢で別居や離婚を選ぶことがもっともっと難しかったのではないでしょうか。時代は確実に変わってきているんだと実感したエピソードでした。そして、自分の幸福が脅かされることには『NO』と言ってもいい権利があることを再認識し、年齢を重ねても自立して生きている強さに勇気をいただきました。 話は日本から世界に広がりますが、2014年にノーベル平和賞を最年少で受賞されたマララ・ユサフザイさんのことも思い浮かびました。彼女の母国パキスタンで、タリバンによって行われた女性の教育弾圧。それに対し、マララさんは11歳の頃から『女性が教育を受けられないことはおかしい』と世界へ向けて発信を始めたそうです。しかし、その活動を理由にタリバンから襲撃を受け、生死を彷徨う大怪我を負うことに。それでもなお、女性が平等に教育を受けられる権利のために戦い続け、その運動が世界中へ広がり、パキスタンで初めて無償で義務教育を受けられる法案が可決されることになりました。 10代の女の子が自分の命を賭けて戦ったのは、お金のためでも名誉のためでもありません。性別によって差別されることがない平等な教育の権利を確立するために戦ったのです。未来の子どもたちを背負って戦い続けた、マララさんの姿に感銘を受けました」