【大学野球】史上2度目の快挙なるか…自己最高打率.341でシーズンを終えた東大・中山太陽
シャープな振りで安打量産
【10月27日】東京六大学リーグ戦第7週 立大13-5東大(立大2勝) 東大の二番・中山太陽(3年・宇都宮高)はキャリアハイとなる打率.341でシーズンを終えた。早大、明大との開幕2カードは13打数2安打と苦しんだ。慶大との第4週までの空き週で、打撃フォームを修正してきた。 「体が開いて、引っ掛けのゴロが多かったんです。逆方向への強い打球が打てるようになりました」 ケガの功名である。今春、開幕4カード目の法大1回戦でスイングした際に右肩を痛め、以降3試合を欠場。夏場は復帰へ向けて、調整を重ねたが、万全ではないまま開幕を迎えた。中山は187センチ80キロの左のスラッガー。ソフトバンク・柳田悠岐、DeNA・佐野恵太にあこがれ背番号44を背負い、フルスイングを持ち味としてきたが、これを封印した。センター返しを意識する基本スタイルで、右肩の開きをセーブ。コンパクトかつ、シャープな振りが安打量産につながった。 慶大、法大、立大との3カード8試合で28打数12安打、打率.429と数字を急上昇させた。慶大1回戦ではリーグ戦初本塁打。終盤4試合はすべてマルチ安打。打率.294で最後の立大戦を迎えると、2試合で7打数4安打と打率をリーグ11位まで引き上げた(第7週終了時点)。 中山にはモチベーションがあった。 昨秋は酒井捷(3年・仙台二高)、今春は大原海輝(3年・県立浦和高)が、ともに外野手部門のベストナインを受賞した。同級生で、同じ外野手のタイトル奪取に、刺激を受けた。 「秋が開幕する前は、捷、大原に続きたいと思っていましたが、ゲームを戦っていく中では、チームの勝利に貢献する打撃を心がけてきました。1打席1打席を集中した結果です」
しかし、反省も忘れなかった。東大は立大との最終カードで連敗を喫し、54季連続最下位が決まった。立大2回戦は18安打13失点で大敗した。「球際のフライが捕球できなかった。あそこで捕っていれば、試合の流れも変わっていたはず」。来年は最上級生である。 「2学年上の代が(春、秋の年間で)1勝して、1学年上の代は2勝。勝ち点を取れず、最下位脱出もならなかった。サポートしてくれた4年生には感謝しています。先輩方がいたからこそ、自分たちは神宮で思う存分、プレーすることができました。来年は自分が引っ張っていく立場にならないといけない」 中山は打率.341、14安打。ベストナイン受賞時の酒井(打率.316、12安打)、大原(打率.333、11安打)を上回った。1959年秋のベストナイン制定以降、東大の選手が3季連続で受賞したのは、61年秋から62年秋のみである。史上2度目の快挙へ、中山は第9週で発表される記者投票の結果を待つ。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール