岡山の生活保護費引き下げ訴訟、受給者ら原告勝訴 地裁判決「裁量権の範囲を逸脱」
国による生活保護費の基準額引き下げは生存権を侵害し違憲だとして、岡山県内の受給者ら38人が岡山市などに減額処分の取り消しを求めた訴訟の判決で、岡山地裁は28日、28人に対する処分を取り消した。1人1万円の国家賠償請求はいずれも退け、憲法判断は示さなかった。 提訴後に死亡した9人と外国籍の1人については請求を却下した。同種訴訟は全国で計31件起こされ、29件目の一審判決。うち処分取り消しは18件目となった。 判決によると、国は2013~15年、物価下落を踏まえて基準額を平均6・5%引き下げた。判決理由で上田賀代裁判長は、厚生労働省が基準額の水準を調整する際、独自に算定した物価などの指数を用いたことについて「合理性がない」と指摘し「裁量権の範囲を逸脱している」と認定した。 原告側は14年に提訴し、「憲法が定める『健康で文化的な最低限度の生活を営む権利』が保障されていない」などと主張していた。 閉廷後、弁護団が岡山市内で記者会見し、団長の清水善朗弁護士は「国側には控訴しないよう求めたい」と話し、原告代表の男性(74)=同市=は「物価も上がり家計は苦しい。現状よりましな生活が送れるよう是正してほしい」と訴えた。 厚生労働省は取材に対して「判決内容の詳細を精査し、関係省庁や被告自治体と協議した上、適切に対応したい」とコメントした。