強盗に狙われない家とは? 対策のポイント 誰かが必ず下見、地方でも他人事ではない
首都圏を中心に相次ぐ強盗事件。中国地方でも10月、光市で中高生3人が強盗に入ろうとしたなどとして逮捕された。「自分の家は大丈夫との慢心は捨てて」。そう訴えるのは、警視庁OBで防犯コンサルタントの松丸俊彦さん(57)だ。強盗に狙われないためにどんなことができるのか、万が一侵入された場合はどうすればいいのか―。狙われにくい家づくりのポイントは「光を放つ」「時間を稼ぐ」「高い防犯意識」のようだ。 【図解】逃げ込める部屋に必要な備えは?いざというとき役立つ日用品は? 首都圏での事件という印象が強い連続強盗事件だが、中国地方でも発生の予兆はある。光市の事件で逮捕されたのは関東地方の中高生3人。闇バイトを通じて集まったとされる。広島市内では「トイレを貸して」などと民家を訪ねる不審者の情報が県警に相次いで寄せられた。 「今は首都圏で起きている強盗事件だが、地方への波及も時間の問題」と松丸さんは注意を促す。全国での住宅を狙った強盗事件の認知件数は、2023年に152件と2年連続で増加(警察庁まとめ)。広島県警によると、県内でも2020年以降、8件発生(10月末現在)しているという。 連続強盗事件の特徴は何か―。松丸さんが挙げるのは、被害者の「闇名簿」が流通している▽一戸建てに住む高齢者が狙われやすい▽現金を奪うために在宅中に押し入る-など。その上で「強盗に入る家は誰かが必ず下見している」と説明する。 闇名簿には「夫が死亡したばかり」「昼に在宅」など住人の情報が記されている。犯人側はその名簿を基に、下見として押し入る家を物色。奥まっているなど目立たない位置に立つ家屋や、玄関の鍵が古い家、いつも高級車が止まっている家などは標的になりやすいという。「警備が整っているこの家はやめよう」と思わせる対策が肝になる。 まずは玄関。人を感知すると光を放つセンサーライトは、通販サイトで千円以下で購入できる。素早く異変に気付けるうえ、犯人側に侵入をためらわせる効果がある。家族構成が分かってしまう表札を出さないこともすぐできる対策だ。 鍵を二つ以上設ける二重ロックや出入り口に横に張り巡らせて侵入を邪魔するバーのほか、防犯カメラや猛犬の存在を伝えるステッカーを貼ってもいい。松丸さんは「防犯カメラの設置もお薦めだがコストがかかる。ステッカーならば貼るだけで住んでいる人の防犯意識の高さが伝わって抑止力になる」と強調する。 一連の強盗事件では、窓ガラスを割って押し入る例もあり、十分な対策が必要だ。空き巣など一戸建てを狙った侵入窃盗事件では55・2%が「窓から入り込んだ」という警察庁のデータもある。 実行犯が侵入するまでの時間を稼ぐことが重要となる。玄関と同様、センサーライトや二重ロックの設置の他、防犯用強化ガラスに変えるのもいい。選ぶ際には、防犯性が高いとされる「CPマーク」付きの商品がお薦めで、外部からの衝撃にも耐えるという。防犯フィルムは部分的にではなく全面に貼るタイプが効果的。松丸さんは「業者に頼んでも数万円でできる」という。 連続強盗事件では、死傷者が出るなど犯人の凶暴性がうかがえる。松丸さんは「日本は安全といえる時代ではない。緊急時に逃げ込める『パニック・ルーム』の準備など犯人が侵入してしまったケースを想定しておくべきだ」と力を込める。
中国新聞社