もし強盗に侵入されたら… 逃げ込める部屋を自宅に確保 110番・警察官が到着までの時間稼ぐためには
いつ被害に遭うか分からない強盗事件。もしも、室内に侵入されてしまったらどうすればいいのか。荒っぽさや残虐さの際立つ犯罪者に対抗する方法はあるのか。防犯コンサルタントの松丸俊彦さん(57)は、自宅の一室を緊急時に避難できる「パニック・ルーム」にすることを提案する。最優先するべきは、命を守ること―。 【図解】強盗に入られないための備えは?狙われやすい家は? 警視庁に23年間勤務し、海外で外交官の安全確保に携わった経験もある松丸さん。強盗対策を考える上で、まず効果が見込めるのが「パニック・ルーム」という。強盗の侵入に気付いたらすぐ家族で逃げ込んで安全を確保する部屋のことだ。 一戸建ての場合は、寝室に使っている2階以上の部屋がパニック・ルームに適している。こじ開けられないよう扉の鍵を二重、三重に設置し、窓には防犯ガラスなどを施す。万が一のときには、携帯電話を持って犯人から逃げ、閉じこもった状態で警察に110番する。 警察白書によると2021年、通報を受けた警察官が現場に到着するまでの平均時間は8分24秒。時間稼ぎが重要となる。松丸さんは「大げさにも見えるが、安全のためにはぜひ設置を検討してほしい」と呼びかける。 ただ、犯人から逃げ遅れ、危害を加えられそうになるケースは十分に想定される。松丸さんは「攻撃ではなく、あくまでも『安全に逃げるため』の武器を備えることも重要」と話す。 例えば犯人との距離を保てる柄の長い懐中電灯。襲いかかってくる犯人の目に光を向け、視界を奪えばわずかでも逃げる時間を確保できる。傘やゴルフクラブ、鍋ぶたも役立つことがある。振り回せば、凶器を手にした相手と距離を取ったり、防御したりすることもできる。 犯行時は犯人側も興奮状態にあることが想定される。タンス預金など現金の保管場所や、キャッシュカードの暗証番号などは抵抗せずに伝えることが重要だという。松丸さんは「高額な金銭も命には代えられず、何よりも生き残ることが先決」と話す。 一方で、松丸さんは「犯人側との接触は犯行時だけとは限らない」とも説明する。白昼堂々と住宅関連業者を装って住宅街を下見し、自宅を訪ねて室内の様子を見ようとする例は多いという。「まっとうな業者には心苦しいが、疑い過ぎでちょうどいい。信頼できる家族や友人に相談することも重要」と話す。 不審者を見かけた際はどうすべきか。住民間で情報共有して注意するほか、不審者への「こんにちは」との声かけも「顔を見たぞ」とのメッセージになり効果的という。緊急以外の通報を受け付ける警察の「#9110」への連絡もしておくといい。
中国新聞社