ゴルフと並列の新提案? 眺めても座っても、運転しても「イイ感じ」 キアEV3へ韓国で試乗
市街地での取り回しは簡単 現実的に560km走れる
ゴルフと同等の大きさだから、市街地での取り回しも簡単。韓国の混雑したエリアを、機敏に駆け回れた。 前後のピラーが太めで、斜め方向の視界はやや制限されているが、ブラインドスポットモニターが車線変更を支援。駐車時は、バックモニターが助けてくれる。サイドミラーも大きく見やすい。 今回の試乗ルートは、穏やかな市街地と高速道路が中心で、高い速度域での動的能力を確かめることは難しかった。それでも、日常的な条件では良好。操縦系には適度な重みがあり、姿勢制御は落ち着いていて、ステアリングホイールの反応や感触も好ましい。 乗り心地は、全体的にソフト。凹凸を通過すると、シトロエンのようにふんわりいなす。ただし、欧州仕様では若干引き締められると考えられる。試乗車のホイールは19インチだったが、エアーでは17インチになる。 EV3の新機能が、iペダルと呼ばれる回生ブレーキ。4段階に変化し、制御の磨き込みは高いと感じた。また予想航続距離は、好条件と悪条件を前提にした、最大値と最小値が同時に表示される。日々の運転で役に立ちそうだ。 筆者が試乗した結果、航続距離は現実的に560kmほど得られる様子。かなり優秀な数字といえる。急速充電は、最大128kWまで対応する。
眺めても座っても、運転しても、とてもイイ感じ
インテリアは、シンプルでありながら視覚的には退屈ではない、好印象なデザイン。フロントシート側は開放的で、センタートンネルはかなり低く、リアシート側の空間にもゆとりがある。小物入れに困ることもないだろう。 内装の素材は、リサイクル材料を用いた現代的なもの。ダッシュボードにQRコードがあり、それを読み取ると何%が再生材料なのか、情報を確認できる。ほんのり光るアンビエントライトは、速度標識読み取り機能と連動し、超過するとレッドで点滅する。 ダッシュボード上には、12.3インチのインフォテインメント用タッチモニターと、メーター用モニターが並んだパネルが載る。グラフィックは鮮明で、確認しやすい。整列したショートカットキーは、強めに押す必要があるようだった。 その下部に、5.3インチのエアコン用タッチモニターをレイアウト。これは、シフトレバーで一部が隠れてしまう。表示も、もう少し読みやすくて良さそうだ。 荷室容量は460L。充電ケーブルをしまうのにちょうどいい25Lの収納が、フロント側にもある。全体的に、コスト削減を意識させるような部分はない。 目立った弱点が見当たらない、EV3。現実的な価格帯にある優れたファミリー・クロスオーバーが、たまたま電気モーターで走るだけ、といった印象を受けた。眺めても座っても、運転しても、とてもイイ感じのクルマだ。 ◯:優れた航続距離と電費 扱いやすい動力性能 快適な乗り心地 △:車載機能の操作性があまり良くない 運転が特段楽しいわけではない
キアEV3 81KWH GTライン(英国仕様)のスペック
英国価格:3万9495ポンド(約758万円) 全長:4300mm 全幅:1850mm 全高:1560mm 最高速度:168km/h 0-100km/h加速:7.7秒 航続距離:598km 電費:6.7km/kWh CO2排出量:- 車両重量:1930kg パワートレイン:永久磁石同期モーター 駆動用バッテリー:79.0kWh 急速充電能力:128kW 最高出力:203ps 最大トルク:28.8kg-m ギアボックス:1速リダクション(前輪駆動)
マーク・ティショー(執筆) 中嶋健治(翻訳)