アメリカで進化した川澄奈穂美 思い出の地での決戦に挑む
持ち前のスピードと技術はシアトル・レインでも高く評価されている。開幕戦で1ゴール2アシストを記録するなど、チームの開幕5連勝に貢献。早くもレギュラーに定着した。また、日本で取り入れていた体幹トレーニングをアメリカでも継続し、それを見たホープ・ソロ(アメリカ代表正GK)らチームメイト達が、川澄のトレーニングに参加するようになる。今では、「SENSEI(先生)」と呼ばれるなど、すっかりチームにとけ込んでいるという。 ■代表デビューの地 このアジアカップは、川澄が代表デビュー(08年)を飾った思い出深い大会でもある。しかも、デビューの地は今回と同じベトナム。「代表デビューはチャイニーズタイペイ戦で、右サイドバックでした。当時はどのポジションでもいいからとにかく試合に出たいと思っていました。あの時はちょうど、その年に北京五輪があって、すでに完成されたチームになかなか入っていけなかったんです。あのときのメンバーやチームワークは強烈で、そこに食い込んで行くのに必死でした。そういうチームでスタートしたからこそ今の自分があると思います」と振り返る。 ■アジアの難しさ アジアの難しさも十分理解している。「欧米のチームとの対戦は、両チームの良さの出し合いになることが多いです。日本がパスを細かく繋いで攻めるのに対して、相手のパワーやフィジカルやスピードは日本にとって嫌なものです。逆にアジアのチームとの対戦だと、良さの消し合いになることが多く、焦(じ)れるゲームが多い印象があります。そんな中では、駆け引きや一瞬の判断で優位に立っていかないと勝ちきることは難しいと思います」と気持ちを引き締める。 なでしこジャパンにとって未だ獲得していない悲願のタイトルをかけたアジアカップ。初優勝を成し遂げるために、アメリカで進化した背番号「9」の輝きが欠かせない。 (取材・文/松原渓) ■AFC女子アジアカップ2014/FIFA女子ワールドカップ最終予選 開催地:ベトナム 開催期間:5月14日(水)~5月25日(日) 初戦の日本×オーストラリア(5月14日)は午後10時5分より~テレビ朝日系列で中継