「老後2000万円問題」が話題になりましたが、最近の物価高を考えると世代によっては「2000万円では足りない」のでは?と思います。何かできる対策はないのでしょうか。
以前大きな話題となった「老後2000万円問題」ですが、本当に2000万円必要なのでしょうか。そして昨今、物価高騰が騒がれる中で老後の生活費に影響はあるのでしょうか。2000万円で足りない場合に必要な年金の活用方法や資産運用、生活コストの見直し方法など、老後に向けた対応・対策を提案します。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
老後はいくら足りないのか?
総務省がまとめた「家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要」では、65歳以上の無職世帯(夫婦)の実収入平均は「24万4580円」であるのに対し、平均可処分所得(税金や社会保険などを差し引いた金額)が「21万3042円」でした。一方で、夫婦1世帯の平均消費支出は「25万959円」です。 可処分所得から消費支出を引いた場合、毎月3万7917円の赤字になります。この生活が30年続いた場合、1365万120円が不足する計算です。「老後2000万円問題」が話題となった2017年時点では、毎月5万5000円の赤字になる計算だったため、2000万円という数字が出てきたのです。 また、日本年金機構が公表している「令和6年4月分からの年金額等について」では、夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金の月額は「23万483円」となっています。 この標準的な年金額とは、平均標準報酬43万9000円を40年間払い続けた場合の金額です。報酬額が平均よりも低い場合は、もらえる年金額が試算よりも低くなる可能性があるため、さらにお金が必要となるでしょう。
今は「4000万円」と言われている!?
「老後2000万円問題」でも驚きですが、「老後4000万円問題」というフレーズも話題となっているようです。その理由は、物価の上昇です。 総務省の「2023年(令和5年)平均消費者物価指数の動向」で公表された総合指数は、2020年を100としたときに、2023年は105.6となります。前年比で3.2%上昇し、32年ぶりの上昇幅となりました。 仮に、今後同様のペースで値上げが続くと、20年後には物価が約2倍になる可能性があります。そのため、2000万円の貯金を目標にためていても、その頃には1000万円分の買い物しかできないため、実際には4000万円の貯金が必要になる可能性があるのです。