目に余る「エイハラ」ベテラン差別する3つの元凶 「年齢」よりも見るべきメンバー選びの判断軸
20年近くコンサルタントの仕事をしていて、私は常にこの心理現象を目の当たりにする。アマチュアであればあるほど学習や鍛錬を怠り、プロであればあるほど謙虚に自分磨きを続けるものだ。 だからまだ未熟なのにもかかわらず、 「わかってる?」 と言われても、 「わかってます!」 と答えてしまうものだ。そして、このように自信過剰バイアスにかかっている人ほど、うまくいかなかった場合、他責にしがちだ。 自分の知識や経験が足りないことが問題ではなく、環境のせいにしたり、たまたまうまくいかなかっただけだと思い込む。
もちろん、挑戦することはいい。いろいろな知識や経験がなくても、このようなプロジェクトメンバーに参画することは、むしろいいことだ。 ただ実力不足の人は、自分自身で「実力不足」を検証することができない。「自覚しろ」と言われても、自覚するための知識や経験がない。 だから、キチンとした知識や経験のある人がメンバーにいなければならないのだ。決して社歴が長いほうがいいわけではない。 社歴が長く、ベテラン社員であったとしても、そのテーマの素人ばかりで構成されたプロジェクトであれば、同じような結果になる。
■本当に「経験豊か」なメンバーを集める ここで、経験と体験の違いについて簡単に触れたい。 体験とは、実際に行動したこと。経験とは、体験したうえで知識や技術を身につけること。私は「体験は点」「経験は線」と受け止めている。 初体験とか実体験と言うが、初経験とか実経験とは、あまり言わない。いっぽう、経験値、経験則、経験年数と言うが、体験値、体験則、体験年数とも言わない。 「経験学習」と言うように、実際に行動したあと自分で振り返ったり、フィードバックを受けてはじめて体験が経験に変わるのだ。
私の知人で、26歳でも立派な経営者がいる。19歳のときに起業し、苦労して50人の会社に育て上げた。経営に関して十分な経験がある方だ。 いっぽうで、私と同世代の50代でも、とても「経験豊か」とは言えないビジネスパーソンもいる。得意な作業には熱心だが、経営や組織に関して真剣に向き合ったことがない。だから部長とか課長という肩書を持っていても「経験」が足りない。「体験」だけで終わらせてきたという人たちだ。