「吃音をからかってごめん」…かつての同級生から届いたメール、「注文に時間がかかるカフェ」奥村安莉沙さんが変わった理由
ありがたいことに新聞やテレビにも取り上げてもらい、参加する吃音当事者が増えていくと、カフェ店員以外の仕事にも挑戦してみたいという声が上がるようになりました。『学校の先生になりたい』、『アパレル店で働きたい』――。そんなニーズに応えるため、模擬教室を開いたり、注カフェのアパレル店版をやってみたりもしています」
「からかってごめん」
注カフェの活動の広がりとともに、吃音に対する社会の受け止め方が少しずつ変わってきていることを肌で感じているという。
「注カフェのことを知った中学校時代の同級生から、『あのときの奥村さんですか』とメールをもらったことがありました。『吃音についてからかってごめんな』と書かれていました。今では自分の子どもに吃音に関する正しい知識を教えてくれているそうです。純粋にうれしかったし、心の中につっかえていた感情がスーッと消えていくような気分でした。同時に、頑張って注カフェを続けてきてよかったと思いました。この活動に踏み出さなかったら、あり得なかったことでしょうから。
注カフェの参加者でも、世の中に自分と同じ悩みを抱える吃音当事者が大勢いることを知らない人もいます。最近、著名な実業家が、かつて吃音に苦しんでいたことを明かし、注目を集めたこともありました。吃音に対する社会の受け止め方は少しずつ変わってきていて、恥ずかしいことでも、触れてはいけないものでもないという時代になってきているように感じています。
私の活動が、周りと違うことに悩む人たちの自信につながり、違いを受け入れることのできる社会づくりに役立てたら、うれしいと思っています。これからも注カフェの取り組みを広げて、もっと世の中の意識を変えていきたいです」