男女平等は口ばかり? “男性社会”での仕事がつらいです 産婦人科・高尾美穂医師に聞く
女性の人生は、体調のリズムやその変化と密接な関係があります。生理、PMS、妊娠、出産、不妊治療、更年期……。そうした女性の心と体に長年寄り添ってきた産婦人科医・高尾美穂さんによる連載コラム。お悩み相談から生き方のヒントまで、明快かつ温かな言葉で語りかけます。今回のテーマは「女性が“男性社会”で働くこと」について。昔とは変わってきたとはいえ、まだまだという場面も多々聞こえてきます。そんなときどうすれば?
Q. 会社で管理職として働いています。世の中が変わってきたとはいえ、男性上司の考え方が古いと感じたり、漠然とした男女差別があるように感じたりします。まだまだ「男性社会」であることを意識せずにはいられません。男性社会で女性が快適に働いていく術はあるのでしょうか。(40代、女性) 高尾美穂医師(以下、高尾): 時代的に変わってきているとは言え、まだ「男性社会」とわざわざ言わなくてもいいぐらい男性社会だというのが現状だと思います。それでも、10年前だったら変えるなんて無理だとはなから諦めていたかもしれないことが、今は本当に変えていける時代になっているのは間違いありません。これからはよくなることしかない、と私は思っています。 そういう現状を認識した上で二つの考え方をしていただくとよいのではないかと思います。それは「今いる環境をよくしていく」という考え方と、「その環境下で自分をどう活かすか」という考え方です。 まずは、会社の中でご自身が変えていける部分がないか、どうしたら自分の考えが取り上げられるかを、もう一回よく考えてみること。「変えていける部分」に目を向けることがやっぱり建設的だと思うんですね。この二つの発想がないと、ただ文句を言っているだけの存在になりかねません。 それから、もし自分が評価されていないと感じているなら、その理由は果たして本当に「自分が女性だから」だけか、そこを厳しい目で見てみるということも、自分の成長のためには必要なことだと思います。相談者さん自身にも、「女性だから評価されない」という世の中の刷り込みはないでしょうか。自分を高める努力は続けるべきだと思います。