男女平等は口ばかり? “男性社会”での仕事がつらいです 産婦人科・高尾美穂医師に聞く
枕詞に「女性が」とつける必要のない社会を目指して
――女性が社会で活躍することの意義を改めて伝えるとしたら、先生はどんなところだと思いますか? 高尾: 本来の男女平等は、「女性が活躍する」ということが意義を持たない状態だと思うんですね。わざわざ「女性が」活躍していると言われる必要がない社会で、性別に関係なく、その人ががんばったから正しく評価される。ここを目指したいですよね。 社会も組織も、参画しているすべての人が今の状況を作っている、という考え方もあります。「男性社会が変わっていくといいよね」と思っているだけでは、すぐには変わらないわけです。 具体的に、どういう状態が目指すゴールなのかと言ったら、誰もが子育てや介護と仕事を安心して両立できる社会ということになるのではないかと思います。子どもが熱を出したとき、迎えに行くのは誰か。お父さんはいつも通り仕事をして帰るけど、お母さんは早退して帰る。そうではなくて、分担できたらいい。そういう社会ができていくためには、会社で休む人がいたとして、それが女性でも男性でも、お互いをカバーできる仕組み作りが普段から必要だし、今回の相談者さんも管理職なら、もしかしたらそこに直接的に取り組めるかもしれないですよね。
■『娘と話す、からだ、こころ、性のこと』 著者:高尾美穂 発行:朝日新聞出版 価格:1760円(税込) 高尾美穂さん初の「性教育本」。母と娘が性のことや心身の悩みについて話ができるように、知識から話し方までフルサポート。女性が人生の中で経験する心身の揺らぎについて俯瞰して知ることができるので、母に限らず、パートナーや娘、職場の同僚への理解のために、男性にも手に取ってほしい一冊です。
語り:高尾美穂 文:Kaori Terada