男女平等は口ばかり? “男性社会”での仕事がつらいです 産婦人科・高尾美穂医師に聞く
「上司の考え方が古い」と嘆くよりも
――考え方が古いと感じるという男性上司とは、どのようにコミュニケーションを取っていくとよいのでしょうか。 高尾: 同じ管理職でも、立場が違って、性別も年齢も違ったら、100%意見が合うなんていうことはないと思った方がいいわけです。考え方が違うのは当たり前。その上で、必要なことが理解されるための方法を考えるのは、中間管理職の役割でもありますよね。 上の立場の人がわかってくれないなら、同じ職位にいるほかの管理職はどう思っているのか。その中に女性がいるなら、その人と話してみるのもいいと思います。それはできることの一つですよね。自分がパフォーマンスを出しやすいように変えていくためには、受け身でいるだけではきっと遅い。自分の身の回りの小さなことだけでも動きやすいように変えていく、という考え方から始めてみてはいかがでしょうか。
「男性社会」の医療業界。腐らず続けてみたら
――先生ご自身が働く中で、これまで心がけてきたことはありますか。 高尾: 医療業界は、もともとはかなりの男性社会。女性が働きやすいかと言ったら、決して恵まれた業界ではありませんでした。それでも、腐らず続けていくとやっぱり状況は変わるということは実感しています。 私が医師になったころは、お医者さんと言ったら男の人をイメージする時代。全体の人数もそうですが、上に立つ人の数のうち女性はほぼゼロに近い状態でした。ロッカーも女性医師用の部屋は無くて、看護師さん用の部屋に置かせてもらっているロッカーを使う。そういうハード面も全く整っていない中から働き出しているので、当時からすると今は急速に働きやすい状況に変化しています。 『置かれた場所で咲きなさい』という本があったじゃないですか。あの言葉は、その場所で我慢しなさいという意味ではなくて、自分が置かれている場をちょっとずつ変えていく、という意味も入っていると私は思っているんです。それを諦めてしまうかどうかで、その先はずいぶん変わってくるのではないかと思います。 私の場合は、やりたいこと、例えば自由な髪型にするとか飲み会には参加しませんとか、そういった選択は周りに納得してもらうというより、やるべき仕事はきっちりやっているから「仕方ないよね」と諦めてもらうかたちになりましたね。